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前身・その最弱は力を求める  作者: 藍色夏希
第3章【その血族は呪いに抗う】
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211.【一戦】

ノイズのように音が走り、己の視界と何かが違う視界が交差する。

点滅する光に目を抑え、自分の見ている景色を遮断するも、何かから送られてくる映像は途切れることがなく、是が非でもその映像を刻み込みたいのだろうか、輝きを強くする。


「レヴィ・・・アタン?」


視界に映る禍々しい両腕には、見覚えがあった。


ーーーーー


時は遡り、戻り戻ってユルカナミシス戦。限界まで戦いきったライラたちに襲いかかった大瀑布の水の奔流から、その場にいた彼女らを救ったのは、正体不明の謎の黒点。1メートルほどの大きさの黒点が突如現れたところまでは覚えている。それが、一貫したアキトたちの証言。吸い込まれたという事だ。

そんな黒点に吸い込まれなかった。そもそも、物理的に吸い込めなかった者たちがいた。


対峙する彼ら。ユルカナミシスとレヴィアタンである。


ユルカナミシスの巨躯は到底1メートルに収まるはずがなく、そのユルカナミシスほどではないが同じく巨体を誇るレヴィアタンにも、状況的には当てはまった。


『おイおイ・・・置いていくのハないんじゃないカ?』


ボロボロになった羽を広げ、ひび割れた口を大きく歪ませる。

まさしく、その表情は、悪魔にふさわしい。


『まァ、いいサ。再戦だナ、海龍。』


降り注ぐ大瀑布の濁流。ねじ曲げられた。

レヴィアタンを包む何かが、水を阻んだように見えた。レヴィアタンの肌に触れる。それが、何かの禁忌とでも思っているかのように、死を運ぶ清流の輝きは、彼を避けながら轟々と流れ落ちる。


全ての水が消えるのに、そう時間はかからなかった。


いつの間にか、海龍月界(ユルカナム・アイオラ)はその大質量を無くし、孕んでいた巨大な鯨を吐き出した。


『ヴェラズアニア』


スブブ、と現れたのは、禍々しく黒に濡れた漆黒の槍。

どこかマモンの鎧に似た風貌の槍は、ナイフ型の刃と、それを補う長くしなやかな柄で構成されており、一目で業物だとわかる。それほどまでに美しいヴェラズアニアを軽々と片手で回し、巨躯に似合わぬ俊敏な動きで飛翔する。

レヴィアタンの全ての脚力で持って、飛翔する。


両腕を大きく広げ、翼がそれに沿うように羽ばたく。輝きに彩られるそれらは力を生み出し、下段に構えたレヴィアタンの姿を、ユルカナミシスの眼前へと写していた。


『おらヨッ!!』


横薙ぎに一閃、振り払われたヴェラズアニアが赤く紛れる。

吹き出した血が霧のように舞い、雨のように降り注ぐ。

赤く紅く、染め上げられたヴェラズアニアの2撃目が、ユルカナミシスの脳天を貫く。真正面、天高くと錯覚しそうになるほどの迫力で、雷と見まごう程の速度で、爆発と大差ない轟音で、たわむユルカナミシスの肉が波打つ。


『オチロ・・・』


白い蒸気を撒き散らしながら、さらにユルカナミシスが爆発。信じられない速度で巨躯が墜ちる。


叩きつけられただけで終わるほど、世界の番人は甘くない。

ガパリ、と開かれた巨大な口内に、幾多もの水滴が集まっていく。

小さな小さな雫は、大きく大きくつなぎ合わされ、それらがさらに寄り集まって巨大な力を顕現させる。その力は、さながら、消えない何かをぶつけるが如く。


放たれる。一閃。

小さく引かれた輝きがレヴィアタンの胴体を食み、風穴を開け、りれない。寸前で割り込んだヴェラズアニアの切っ先が、美しい直線に曲線のアクセントを刻む。些か鮮烈すぎるほどに。


キラキラと一瞬かがやいたその線は、質量を何千倍にも増やしさらなる爆撃でレヴィアタンを襲う。

敷かれた一閃のレールを走る巨大なレーザーは、いともたやすくレヴィアタンの体を包み込み、明るいその圧倒的力の中に、小さな黒い影を魅せる。


全く警戒を緩めないユルカナミシス。そして、全く攻撃をしないユルカナミシス。


『あァ、そうカ。オレがこの人間界に入ってきた時ハ、乱戦だったからナ?』

ーーー・・・

『ちゃんと戦おウってカ?くハハッ!!イイナ、そレ!!』


無傷で現れたレヴィアタンがその口を大きく開けて豪快に笑う。


いま、ユルカナミシスが殺せと命じられた相手はいない。つまり、ここは彼の殺意だけの戦場だ。どう戦おうが彼の自由。どう戦いたいかは、彼が自由。

それにのるのも、また自由。


大きく仰け反るレヴィアタン。握られたヴェラズアニアからは、瘴気のように黒く禍々しい気配に飲まれて見えなくなった輝きがある。

輝きが抑えきれなくなる、纏わり付いた瘴気ごと。


瞬く閃光とともに、レヴィアタンのヴェラズアニアから流星の如き輝きが乱舞する。いくつもに別れた輝きが辿る先、ユルカナミシスの真正面。

その輝きと咆哮が、乱舞する。

お久しぶりです。一ヶ月近く投稿をサボタージュ祭りしていたアクシデントエンペラーです。

まず言い訳からさせてください。テストやら豪雨やら色々あったのですが、1番は3章の展開を大きく変えないといけなくなり、そこで四苦八苦してました。

どうして変えなければ!、となったかというと、現在も大活躍中ユルカナミシスさんに関係があります。

詳しくは言いませんが、パクリ疑惑を自分で持って自分で不安になりました。

大改稿した話の時に、詳しくは話させていただきます。長々とすみませんでした。

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