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前身・その最弱は力を求める  作者: 藍色夏希
第3章【その血族は呪いに抗う】
209/252

206.【極めた刃!】

短めです。


「アキト、ほんとに付き合ってないの?」

「当たり前だ。釣り合わないだろう?」

「たしかに・・・」


疑わしげにアキトを見るライラに、天秤の測り方を教えてやると、傾く方向は明らかに分かったのだろう。納得してアキトの精神的体力にナイフを投擲。クリティカルヒット。


「そんなことより、アキト、寝なくていいのか?」


勝手にショックを受けているアキトが項垂れていると、ベッドに腰掛けていたアイリスフィニカが尋ねた。ライラはもう1つのベッドに、アキトは小さな簡易的なキッチンで、各々時間を過ごしている。


「正直、ここを出るために色々分からないと、やることがないからな。どれだけ寝坊しようが変わらないというか。」

「まぁ、・・・確かに」


明日どれだけ早く起きようが、数日寝すごそうが、アキト達には大したダメージはない。正直、いま完全に目が覚めてしまった状況で、再び眠りにつくメリットはない。

ありがたいことに、種族的に魔力保有量が多く、魔法を使わないため2000年分の魔力を溜め込んでいるアイリスフィニカは、この街ではちょっとした金持ち、大金持ちと言っていい。ライラも、顕現魔法の総乱射をガトリングレベルで行える魔力を持っている。魔力の生成速度も考えると、物価を急上昇させられるほどの大富豪だ。

つまり、この宿を出ることも、少しの間はなくていい。


「じゃあ、なんかするか?」

「何するの?」


暇な時間を何かに使おうと提案するアキトの言葉に、引くぐらいのレベルで食いつくライラ。大罪囚の反射神経に畏怖しか出ない。

と、そんなことを言っても、アキトには暇つぶしの手段なんてない。現代社会で暇を持て余しすぎる人間が考案した遊びも、ルール説明で夜が明ける気がする。


「腹減ったし、なんか作るか・・・」


最終的に辿り着くのは、腹を満たす欲求のみ。持っている素材なんてないので、キッチンにある横に細長い箱を明ける。ひんやりと冷気が伝わってくるこれは、基本的に前世界の冷蔵庫と変わらず、冷却方法の違いから向きが横になっているところくらいしか変わっているところはない。

そして、もちろん大した食材が入っているはずもなく。


「林檎しかないな・・・」


赤く熟れた林檎が数個。


「りんご?ていうか、アキト、料理できるのか?」

「できねえ」

「あんな自信満々に『なんか作るか・・・』とか言ってたくせに?」


アイリスフィニカの素朴な疑問。アキトの普段の手際の悪さなら、アイリスフィニカのその疑問は妥当なものだが、それに堂々と否の答えを返すアキトには、さすがにジト目の応酬が飛ぶ。

しかし、アキトとて全くできないわけではない。親に何か料理作れるようになれ、とどやされた時、カップ麺以外にアキトが作れたのはポテトチップスのみ。そこで、新たな料理の習得に挑むアキトが選んだのは、林檎だった。料理じゃねぇ、というツッコミは受け付けない。


慣れた手つきで林檎を手に取り洗う。そして、ナイフを片手に林檎を回す。刃に乗って弧を描きながら切り出されていく皮。いくつもの多面形に覆われるような表面に変換された林檎は、その白い実を晒す。

そこから、いつも見るような形に切り。


「どうだ!見直したか!」

「切っただけじゃん。」

「おぐ!」


アキトのハートブレイカーと化しているライラの鋭い一撃が、またしてもアキトの精神を抉る。


「りんご・・・どこかで・・・」


アイリスフィニカの困惑した表情に、アキトはまだ気付かない。



最近1番見ているのはリゼ第二工場長。名探偵ピカチュウの7のサムネカッコよすぎ。

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