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前身・その最弱は力を求める  作者: 藍色夏希
第3章【その血族は呪いに抗う】
208/252

205.【テンプレイベントの回収】


「んだよ、うるさかった割に寝てんじゃねえか。」

「ほんとだ。」


すっかり街が闇に包まれ、街灯の灯りが目立ち始めた頃。アキトたちは現在の拠点の宿へと、やっと帰還したのだった。

そして、可愛い寝顔を晒して眠るアイリスフィニカ。柔らかな頰をつついて感触を楽しみながら、漏れる艶やかな声にビビってやめる。

ヘタレだ。


「それで、あの剣は?」

「確証はないけど、多分。『エウロノア・ペイルダム』」

「・・・・・・」

「知らないよね。でも、私もあんまりわかってないの・・・」

「そうか・・・」


今現在のアキトのパーティーの中で、おそらく1番知識力の高いライラが言うのだ、きっとそれ以上のなにかが出てくることも、あれ以上の衝撃を受けることもないのだろう。


「ごめんなさい・・・」

「いや、知りたがったのは俺だからな。ありがとう。」

「うん・・・」


そっとその柔らかな明るい茶髪を撫でて、目の前の2つのベッドを見据える。

本来なら3つなければいけないのだろうそれは、この部屋に2つしかない。アキトの脳が、とてつもない速さで回転を始める。

この中の全員がベッドで寝る可能性を考慮するならば、ライラとアイリスフィニカが1つのベッドに、もう片方にアキト。しかし、これは速攻却下。考える意味もない。

2つ目、1番有力な方法。ライラとアイリスフィニカにそれぞれベッドを明け渡し、アキトはソファか床で無様に寝ると言う方法。

そして、犯罪的な案だがライラとアキトが一緒に寝るという手段。

ここまでの思考、1秒かからない。


「じゃあライラ、お前はあのベッドで・・・て、もう寝てるし」


1秒かからないアキトの思考の間に、1秒かからない一瞬の速さで、その幼女はベッドに身を任せていた。自分から最善策を選びに行ってくれたことに感謝して、ソファに手を述べて感触を確かめる。

固い。合宿所のベッド並みに固い。


「まぁ、いいか。」

「いいか、じゃない!」


翌日の体の痛みを覚悟でソファに寝ころがろうとした瞬間、背後から恥ずかしげに震える声が聞こえた。

振り向けば、ベッドに座って上目遣いで睨むアイリスフィニカがいた。


「ちょ、その構図、可愛すぎる・・・普通にしろよ・・・」

「か、かわ!いぃ・・・?ば、バカぁ・・・!」


恥ずかしげにピクリと震え、アキトから視線を外すアイリスフィニカ。頰を膨らませて怒っている風ではあるが、りんごのように赤く染まった頰からは嬉しさが伺える。

「ぃ・・・いきなり・・・」と恥ずかしそうに唸るアイリスフィニカだったが、恥ずかしさを振り切るように、はたまた思い出したように、アキトの方へと歩みを進める。


「すぐ1人だけ無理しようとする。ん!」


怒りを言葉の節々に織り交ぜながら、親愛を表情の内に潜ませながら、アイリスフィニカがさっきまで使っていた毛布を差し出す。

そのまま疑問符を浮かべて静止するアキトに業を煮やし、アイリスフィニカがそれを投げつける。


「お前はどうするんだよ!」

「アイは別にいい。」

「アホか、そんなわけにいかないだろうが。」


再びアイリスフィニカをベッドに戻そうと肩を押す。否定の声をあげながら反抗するが、雑魚すぎるアキトに本気で振り払う動作をすれば、四肢ぐらい軽く飛んでしまうので、力加減が難しいだろう。それをいいことに、アイリスフィニカを誘導して、


「あぐっ!!」

「ひゃ!」


背後に迫っていたベッドに躓き、アイリスフィニカがベッドに仰向けに倒れる。咄嗟にアキトの右手の袖も掴んでしまったため、アキトも一緒に。


ふわりと香る花のような匂い。生糸のように滑らかにベッドにひろがる赤髪。紅い頰、揺れる瞳、自分の影に重なる可愛らしい少女。

俗にいう、押し倒すというイベントを、アキトは勝ち取ってしまったらしい。


「あ・・・すまん!すぐ退くから・・・」

「だ、だめ・・・。アキトがベッドで寝るっていうまで・・・離さない・・・から・・・。」

「お、おま・・・!」


やけに艶やかな唇が目に入って、目をそらす。アイリスフィニカも同じく、恥ずかしさにショートしながら瞳をそらし、体を震わせている。


「またイチャイチャしてる。」


「「してない!」」


ライラの一言ですぐに終わったことは、言うまでもない。


いつもマイクラしながら『鳴上裁』さんの生配信アーカイブ見てます。普段とのギャップが好き。

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