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前身・その最弱は力を求める  作者: 藍色夏希
第3章【その血族は呪いに抗う】
188/252

185.【血の霧雨と鉄仮面】

第1回小説執筆シャトルラン4回目。

鉄仮面。

それは、屈縮術を使う上で、力を求める上で、その大監獄バルバロスで生き抜く上で、あまりお勧めはいないがという一文とともに提案された技。いや、心構え。

無関心、無干渉。それは、物事に対して、ということではなく、自身の精神に対してということだ。

自分は今悲しんでいる。それに対して関心を持たない。もし持ってしまったら、それは悲しみを深く認識する。その感情を理解しようとして、深くその感情に潜ってしまうから。

無干渉。自分は今、怒っている。そんな感情に干渉してしまえは、あてられた体は、その感情に任せて動き出してしまう。だから、無干渉を貫く。絶対に。


ーーー今俺は、怒っている。


カーミフス大樹林での事件によって、アキトは心の感受性のほとんどを失った。大きな感情でなければ、アキトはあまりわからない。だから、恐怖はそれほどない。ただ、脳を一色に染め上げる怒り。そして、それを飲み込むほどにじわじわと侵食する、不安。


けれど、無関心。無干渉。それが、生き抜くための。

アイリスフィニカなら、どうしろと言う。最悪の場合、少女は血をもう一度集めて、なんとか生きれるかもしれない。ならば、このまみ無様に突っ込んで死ぬのではなく、アイリスフィニカ救出に繋がる行動をしなければならない。


「すまん!アイリス」


木々の隙間を抜け、ぬかるんだ地面を滑りそうになりながら駆ける。


ここでアキトが死んでしまえば、助けられる可能性が、限りなくゼロに近い1から、確実なゼロに変わってしまう。だから、この感情の嵐を、この感情の濁流を、必死に押さえつける。

唇を噛んで、拳を握りしめて。


戻った時、ライラは少しだけ回復していた。

損壊の激しかった頭部は、約半分が形を取り戻しており、ぐちゃぐちゃだった胴体はなんとか全て繋がっている。その状態を見れば、あと少しでも遅れていたらとゾッとする。しかし、そんな時間はないと言い聞かせながら、ライラを抱えて走り出す。


レイを倒すために、走り出す。


ーーーーー


霧のように細かい粒子となって舞い続け、そっとビル群に付着する血。

吸血鬼の力のうちの1つに、このようなものがある。『霧になれる。』しかし、実際はそこまで便利なものなどではなく、吸血鬼が体を細分化されてしまうほどの損壊を負った時に、体を霧に変えて回復するまで待つと言うのが実際の力だ。


無論、アイリスフィニカのように連戦中であり、明らかに治るのに相当な回復力を要しそうなものの場合、霧から人の姿に戻れるかは怪しい。なぜなら、そもそもの血の量が足りない可能性があるからである。

レイの拳圧によって、アイリスフィニカの血液は多少弾け飛んだ。そして、このまま血の霧たちが集まれなければ、アイリスフィニカは死ぬ。

そして、最大の難関。それはなにか。アイリスフィニカの能力劣化である。

2000年も使っていなかった能力が薄れてしまうのは仕方のないことで、アイリスフィニカは自分の力で集まることが出来ない。

アキトはこの一連の事を知らない。しかし、アイリスフィニカの薄れゆく自我は信じている。

アキトの勝利を。


アイリスフィニカの体が、霧となって消えた。




もう限界です。(白目)記録4回。

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