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前身・その最弱は力を求める  作者: 藍色夏希
第3章【その血族は呪いに抗う】
184/252

181.【絶望、涙】


「い・・・たい・・・嫌・・・捨てないで、そんな目で、見ないで。」


ドロリとした気持ちの悪い感触が腕を撫で、それを血だと感じ取れるはずの脳がないから、半分以上がこっそりとえぐられている右腕でそれを触ろうとする。指がない。だから、触れられない。わからない。眼球がないから、分からない。

最後の記憶は、凄惨だった。何故か糸となってどこかへ移動したレイからの追撃があれば、ライラは死んでいた。

助けて、くれないのだろうか。あの少年とは同盟。仲間、仲間。

そんな思考ができるくらいにまでは回復した。しかし、未だ世界と自分の意識を繋げることができない。

心細い、助けてほしい。声をかけてくれるだけでいい。


ーーー君は、ライラを蔑まない、初めての人だから。助けてほしい。


初めてだった。自分を蔑まない人物は。だから、助けてくれるのではないか、そんな甘い未来予想。

わかっていた。分かりきっていた。

どうして少年は度々席を外した?どうして苦しそうに自分を見ていた?どうして別行動に対して不安を抱かなかった?

嘘のように沸き続ける問いの数々に、ライラは1つの答えで全てを収束させられる。


ーーーライラが、疎ましかったから。


「ふ、ふふ。馬鹿・・・みたい・・・」


ドロドロとした血液の流れる感触。ところどころが固まって張り付いて、乾いた笑みで動く頰が、それらを割る。それに上乗せするように、熱い何かが流れ落ちる。


「勝手に、仲間なんて・・・馬鹿みたい。」


絶望。

涙。


光は弱く。掻き消され、少女の声は届かない。


ーーーーー


何故。

282の脳内で爆発するその問いかけが反響し合い、消えることのない音量で警鐘を鳴らす。

バルバロスで、ほんの少しだけ少年と話せた。彼には、這い上がろうと足掻く理由と、戻りたいと思える感情の糸が、上の世界につながっていて、安心のはずだった。


ーーー何故邪魔をする!エゴロスフィニカ!


「なに、いいではありませんか。あなただって理解したはずですよ?シシュウという存在の消失によって、どれほど世界に影響があったか。・・・もうこれは、あなただけの問題ではない。私も容赦はしない。」


怒声を張り上げる282。その姿はおぼろげで、どこか神々しさを感じさせる。少年ほどの体格の靄が叫ぶ先。簡素な椅子に腰かけた男は、両手を組み、俯いたまま話す。

そして、その横に佇む老人。濃ゆい金に彩られる白髪。既に相当な年齢に達しているであろう。箱庭の『権限魔法』アーテラルド・ジオリル。

エゴロスフィニカを睨みつける282。拳を握り固めたそれに向かって、そっと手を伸ばす。決して、話さない。


顕現魔法『ヒーゼリア』


撓み、連なる輝きが竜となり、それが渦巻きながらジオリルの右腕に巻きつく。生じた2体目がそれらごと腕を喰らい、輝く右腕を振り上げる。


ーーー黙っていろ、傀儡。


パキ、と。いとも簡単に顕現魔法が崩壊。斬り刻まれたジオリルの腕から血が吹き出る。切り落とされるよりはマシ。しかし、そこに激痛が伴いことは変わらない。

思わぬ衝撃に後ずさるジオリル。


ーーーほんの少しの偶然に頼った男が無様に。『それ』を自分の力だと思うな。


顕現魔法、それは。


ーーーそれは、与えられた力だ。


作者考案の小説執筆罰ゲーム、『小説執筆シャトルラン』

全身全霊で魂を込めて小説を書き、2000字書くごとに投稿していき、もう無理というところまで書き続けるという罰ゲームです。ずっと座り続けて書くため、体に大きな負担をかける罰ゲームです。投稿サボることにやろうかななんて考えてます。

え?最近ずっとサボってた?

・・・第1回小説執筆シャトルラン開始!

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