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前身・その最弱は力を求める  作者: 藍色夏希
第3章【その血族は呪いに抗う】
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155.【停滞→飛躍】

あけましておめでとうございます。

今年もサボり気味にぼちぼちやって行くので、お付き合いしていただけると嬉しいです。

「成功率は50回に1回ってとこ?」

「ああ、そろそろ腕と足がやばい・・・」

腕と脚の重み、動くたびに軋む体の節々。痛みには強いと自負しているものの、こんなごちゃまぜの状況でそんな気休めは通じなかった。

そう、バルバロスからの脱出、アイリスフィニカの救出、覇帝の撃破、シドからの逃亡、水害竜の対策。数的に考えれば5つ。四方と頭上を塞がれてしまった状況。普通なら、何もかも投げ出して逃げてしまいたくなるけれど、まだ全てを塞がれているわけではない。四方から出られなければ上から、上から出られなければ下から。全ての壁を壊してアキトは進める。

しかし、それら5つの試練をはるかに凌ぐ出来事。それが、とうとうアキトの足元までも塞いでしまった。

言うまでもない。リデアだ。

思い出せば出すほどため息が溢れ、胸が締め付けられる。

「いつまでうだうだしてるんだ?早くどうにかしないとなんだろ、上の国の事。」

アイリスフィニカには訓練中に一通り話し、大体の理解はしてもらっている。折角バルバロスから出られたのにもかかわらず、国が滅んでいく所ありませんでしたなら笑えない。

ここまで1人で気高く生きてきたアイリスフィニカに、そのような理解は簡単だったろう。

「・・・・・・優しいな、お前は。知らない国のためによくもまぁ、」

「言うだけなら簡単だからな。」

「・・・・・・ありがとよ。」

「・・・・・・う、うん・・・」

至って真面目に礼を言ったつもりではあったが、アイリスフィニカはそっと顔を背けた。実際はめちゃくちゃにやけているのだが、アキトは全く気付いていない。

「でもまぁ、対策に至ってはどうすりゃあいいのか・・・」

「結界術の女の子に会ってきたんじゃないのか?」

「注意喚起しかやってないんだ。だから、しっかりとした対策は追々伝えるって感じになってな。」

世界の2トップの差し金に対して、そんな軽いものでいいのかとは思ったが、アミリスタとてそこまでは暇ではない。ウドガラドを担う竜伐の1人に、長々と話をする訳にはいかないわけだ。

「でも、水害級の竜は移動速度が遅い。ただでさえでかいから、バルバロスから出るのも大変だと思うし。」

「そういうもんか?」

「うん。水竜系は竜の形と違うやつも多いからな、もしそんな奴だったら、まだ時間はあるはずだ。」

「・・・・・・」

ちなみに、アキトが落とされたバルバロスの入り口は、人間を落とす用のため、竜はおろか魔獣すらも通る事が出来ないだろう。

「そう考えると、俺が知ってるバルバロスの入り口で、竜が通れそうなのなんて1つしかないな・・・」

バルバロスのような凶悪犯を取り締まる監獄ならデカいだろう、そんな訳の分からないイコールで結ばれていたが、案外そうでもなかった。もちろん、アキトが落とされたウドガラドの貫通口も現実のトンネル2個分くらいはある。それほど、竜は巨躯だ。

「バルバロスに入るほどの奴ってさ、どうしても人間ばっかりなんだよ。」

「悲しいな。」

よく考えてみれば、魔獣だって災害レベルになるのは一握り。しかし、非力な人間を同じく殺すのは人間だ。非力である事で非力に殺される。それが、人間たちの性。バルバロスはそれを大きく表しているだろう。

「それで、大きな貫通口ってのはどこにあるんだ?国からは近いのか?」

「ああ、馬車・・・じゃないな、従車で半日。カーミフスの奥の方にあるらしいから。」

アキトが文献で調べた貫通口の中で、アキトが落とされたところが282番、カーミフスのところが23番となっていた。誰に聞いてもどうしてそんな番号がついているのかは知らなかった。アミリスタ曰く、剣にはどうして剣という名前がついているのかは、聞かれて答えられるか?というイラっとする返しをされ、頰をリアルに数十分ふにふにし続けていた。涙目になっていたアミリスタが可愛かったのは苛立ちポイントだ。

と、そんな思い出に浸っていれば、アイリスフィニカが首を傾げていた。

「カーミフス・・・」

「どうかしたか?」

「いや、なんでもない。それくらいの距離なら、あと少しは時間があるだろ。」

「そうなのか?」

「うん。バルバロスから貫通口に行くまでにも、時間はかかるからな。」

実際に体感したアキトは分かっているが、この図書戦宮ですらこの広さだというのに、そんな所を何個も跨いで行くのだから、時間がかかるのは必然とも言える。

つまり、時間はまだある。

「なら、理想は1つで終わらせることだな。」

「1つで終わらせる?どういうことだ?」

「この状況をどうにかする解決策を、1つで済ませたいんだ。」


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