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前身・その最弱は力を求める  作者: 藍色夏希
第3章【その血族は呪いに抗う】
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136.【前兆前夜の大罪悪魔】

お久しぶりです。端末を変えてやってみるとできるっぽいので、買い換えようと思います。なのでもう少し待っていただけると幸いです。

待たせてしまったのにも関わらず評価してくださった方、ありがとうございます。

「大丈夫か?ヴィネガルナ。」

簡単な軽装の鎧を外し、軽い戦鎧と共に双剣を病室の机に置き、未だ調子の優れないヴィネガルナに声をかけた。

昨日やっと出かけられるくらいには回復したものの、ヴィネガルナの魔法は反動が大きすぎる。それを酷使しすぎた少女は、いくらそれだけ強かろうと、努力していようと、ヴィネガルナはまだ療養が必要だ。

「はい、昨日から大分良くなってきてます。本当に、ありがとうございました。」

「それなら良かった。」

優しく微笑むウルガがヴィネガルナの頭を撫でる。湧き上がる嬉しさと、紅くなる頰を隠そうとシーツで顔を隠すヴィネガルナ。隠しきれない耳の赤さを見て、ウルガとて気付かないはずがない。

ウルガとて、嫌なはずがない。嬉しくないはずがない。

ーーーこんな俺が貰っていい幸せじゃないのかもしれない。

それでも、そこで捨てられるほど、ウルガは心を忘れていない。

「なぁ、ヴィネガルナ。俺は、お前のことが、」

「う、ウルガさん?」

そっと、ウルガがヴィネガルナの手を取って、

「病室でいちゃつくのはいいが、少しは気配を気にした方が良いんじゃないか?」

と、ひどく冷静に、ひどく冷たく。まだ好意を伝えてすらいないどこかで見たことのあるようなバカップルに、輝く手が指差した。

機械仕掛けのようにゆっくりと首を動かすヴィネガルナと、対照的に表情を変えずにそっと直立不動の姿勢に戻るウルガ。そして、それに呆れたような怠惰の悪魔。謎の光に包まれた、ベルフェゴール。

ベルフェゴールは空いた手でアケディアの瞳を隠しており、アケディアはそこから姿勢を低くしてウルガたちを眺めている。

「な、なな、なんでここに!」

「何、別に貴様らの繁殖行動にどうこういうつもりはない。」

「そんなんじゃな!」

真っ赤な顔で否定する少女の声を無視して、ベルフェゴールがウルガに視線を向けた。

「少々無視できなくなってきた。か?」

「ああ。光量が多すぎて、さすがに鬱陶しくなっていてな。」

そう言って、朝から輝きの薄れない左手を振ってみせる。気にしなくても良いだろうとたかを括っていた怠惰な2人にアピールでもするかのように、その光は輝きを増して行き、とうとう彼女らの重い腰を上げたのだった。

「ファルナがいなかったのでな、貴様にどうにか聞けないかと思ってな。」

ファルナは『箱庭』と唯一繋がっている皇家。それを知らずとも、ファルナが膨大な情報を持ち得ているということは考えずともわかる。なぜなら、このウドガラドを繁栄させる大きな存在が、ファルナだからだ。

「まぁ、知らない事もないですね。ライラ・クラリアス。」

「?何故その名前を。」

現、嫉妬の大罪囚。ライラ・クラリアス。バルバロスにおとなしく囚われていた嫉妬、傲慢、怠惰のうちの1人。

大罪囚の中で一番温厚であり、戦闘力ではイラと同等かそれ以上。大罪囚の序列2位を争う少女は、大罪囚の中で、世界の中で一番哀れといっても良い。何故ならば、ただ人に妬まれやすかった。ただ、人より才能を持っていた。少しだけ、精霊王からの寵愛を多く受けていた。それだけで、大罪悪魔に魅入られ、世界の厄災だと罵られ、大監獄へと身を落とした。

「古代帝国。そこで昔、それを捕らえようとした計画があったらしい。」

「それで?」

「お前のその状態と全く同じ事が起こって、急に光が消えたらしい。」


血が、叫んだ。

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