134.【非日常から日常に】
小説が消えてしまう不具合?がありまして、それが直るまで出せないかもしれません。すみません。
投稿が出来るときはしますので、気ままに待っていただければ幸いです。
もう慣れてしまった痛みと共に、決して慣れることのないだろうアイリスフィニカの意味深な視線を感じ、アキトは靴縮術の鍛錬に打ち込んでいた。
過労?いや、ストレス?限界を迎えて倒れたアキトは、その後の記憶も、倒れていた時の記憶も曖昧だ。それでも、嘘で固めた理由の内側。本当の理由を、思い出せていた気がしたのだけれど。そんな妙なしこりと、なんだか熱っぽいアイリスフィニカの視線も相まって、アキトの心中は非常に穏やかじゃない。少なくともアイリスフィニカが良い方向で意識していることなど、気づけるはずがない。
それはきっと、覇帝を倒すことより難しい。
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「だぁ〜〜〜〜〜、疲れた。」
「お、お疲れ・・・。」
これまたアイリスフィニカ製の紅いタオルをもらって汗を拭き、ばさりとクッションに寝転がった。
その横で寄り添うように、少女は優しく座っている。懐かしく暖かい感覚に頰を緩め、襲いくる睡魔に敗北した。
「?・・・」
微睡みの意識の中。水中のような視界の息苦しさに目をこする。やけに、紅い色が強く輝いていた気がした。
真っ赤な顔でこちらを覗き込むアイリスフィニカ。いつの間にか、自分は膝枕されていたらしい。そんな自己解釈にそんな訳が、と言いかけて、あれ?本当じゃねぇか、と気付く。
「その、不意打ちだとやっぱり、照れるんですけど・・・。」
「ッ!」
そっと目をそらして赤い顔で呟くと、フリーズしていたアイリスフィニカが恥ずかしさに声にならない悲鳴をあげた。