episode eight
ブクマ、感想、評価、ありがとうございます。
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週の折り返し。
自己紹介や、教科書の配付。
各授業方針の説明も終わり、いよいよ本格的に学校生活が始まった。
ヤツとの一件はもう大丈夫。
美談になって終わった。
俺とヤツの。
解せん。
あと、2年生からは『王子様』ってよばれてる。
冬華情報です。
何でやねん。
暴君の間違いだろ。
で、今俺は体育の授業に出ている。
バスケだ。
実は俺、バスケット結構得意。
ほら、小さい頃、俺は同盟国軍の戦友にも預けられったって言っただろ?
当然、合衆国軍のやつらだって含まれるわけよ。
で、何して遊んだかって?
決まってんだろ、バスケだよ。
話の流れ的にな。
ラグビーとか言うと思ったか?
馬鹿め。
あいつらおかしいんだよ。
バスケ選手とかでもねえのに、めっちゃ出来る。
アメリカ人全員って訳じゃないのは勿論だろうけどさ。
少なくとも、俺の知ってるアメリカ人はみんな上手かった。
つかあいつらキチガイだった。
バスケ狂。
隙あればバスケ。
いつもバスケ。
どこでもバスケ。
何かあるとバスケ。
何かにつけてもバスケ。
前世は何ですか? 冗談ですってか?
はっ、失笑。
挙げ句の果てには、空母の甲板に簡易ゴール設置してバスケに興じやがった。
俺(幼少期)を巻き込んでな。
あれはふざけんなだった。
だって一応護衛任務中だぜ? 要人の。
ガキを預かってんのに任務に出たら、親が俺を預けていった意味ねえじゃんか。
バカだなーって思ったよ。
それなのにバスケやってんだぜ? 護衛ほったらかしで。
海の上だからそうそう襲撃は無いっていってもな。
万が一のための護衛なわけで。
……はあ。
で、それはいいんだけどさ。
何がふざけんなって?
そりゃあれだよ。
連中、アツくなりすぎて、子どもに出すパスのレベルを越えて出しやがったんだ。
ビュンと。
俺捕れねーじゃん?
ボール吹っ飛ぶじゃん。
それが、たまたまミサイル運んでた整備士の足元に転がって。
それに躓いてミサイルをポロン。
まずここで死を覚悟した。
マジ馬鹿だろ?
で、運良く? 爆死エンドを回避したんだけど。
その落としたミサイル、コロコロ転がっていきやがったん。
サイドワインダーっていう、戦闘機の主翼の端っこに付いてるやつでさ。
そいつの安定翼の修理で運んでたんだ。
安定翼ばないから、よく転がること。
そいつを全員で追っかけったって訳だよ。
結果的に無事回収したけど。
艦長と上官に死ぬほど怒られましたよ?
だろーな。
俺? 無知で可哀想な少年を演じましたが、なにか?
連中がこっぴどく絞られ、罰として地獄の訓練に勤しんでいるのを横目に。
アメリカ美人な女性兵士とランデブーってました。
……笑顔の美人に怒られるって恐怖を学んだがな。
すんませんほんと。
だから柔らかい笑顔で、爆殺すぞ? とか言うの止めてください。
そんな感じのことを言われたんだよ。
怖かった。
『空翔びたい? そっかー、じゃあ選んで。シースパローかハープーン』
こんなノリ。
シースパローってのは、艦対空ミサイル。
ハープーンってのは、艦対艦ミサイルだ。
どっちも結局吹っ飛びます。
ミサイルってのは空飛ぶ爆弾なんで。
いやあ、鬼畜!
太平洋で散りたくありません。
閑話休題
「冬夜くん!」
おっと、パスだ。
舐めてんな、このパス。
俺をこの世界規準で計るな。
まあ、仕方ないか。
ホホホ、初めてですよ。
ここまで私をコケにしたおバカさんたちは。
っていう幻聴が聴こえる。
まあいい、ここはいっちょ魅せてやるか。
「ん、さんきゅ」
コートの中ほどでパスを貰った俺。
完全に舐めてる敵チームの女子を一人抜き。
「え」
次に、虚を突かれたバスケ部の女子を、背面にボールを隠してクルリとターン。
華麗に二人目も抜いた。
フリースローの辺りでシュート!
と、見せ掛けて、それに引っ掛かってブロックに入った女子二人をスルー。
左のゴール下からレイアップ! は、しない。
はい、ブロック乙。
ブロック乙と言われる女、略して乙女。
バゴン!
ひょいっと避けて背面片手ダンク! をしたいけれど厳しいので背面シュートで。
「「「「「「……は?」」」」」」
どや。
最近、この体も能力上げたんで。
あとは技術でカバー。
これくらいなら出来る。
まあこれでも前世では、やっと連中と真剣に試合が出来るってレベルなんだけど。
な? キチガイだろ?
「いっぽーん、締まってこーぜ」
「「「お、おー?」」」
気の抜けた返事、かわええな。
おお、揺れる揺れる、胸が揺れる人もいる。
プリップリのお尻が堪らねー。
おお、チラリ!
眼福や。
ピー!
あ、終わった。
結構いい勝負だな。
最初は舐められてたけど、途中からみんな真剣だったと思う。
そしたら容易に抜けなくなった。
やっぱこっちの女性ってスペック高いわ。
ただのパンピーだって中々やりよる。
いい汗かいたな。
やっぱ運動は楽しい。
無理言って俺も体育に混ぜてもらって良かった。
最初は、俺だけ自習か保健室だったんだ。
きっとそれが、こっちの男性の常識なんだろうな。
体育の先生も最初はどうなることやらとビクビクしていたけど、今は俺の動きに驚きつつも何処か安心している。
きっと心配だったんだろう。
迷惑かけたな。
「霧桐、お前スゴいな! こんなに出来る男には先生会っとことなかったな。これからも女子に混じって体育やるか?」
お、先生の方から言ってくれるとは。
嬉しいぞ。
「ありがとうございます! 俺、体動かすの好きなんですよね。是非お願いいします!」
この先生は結構好きだ。
個人的に。
さっぱりした感じで話しやすい。
軍に居たせいか、はっきり、でかい声で、分かりやすく話す人には勝手に仲間意識を持つようになった。
それ抜きにしても、人柄もいいしな。
ただ、こういう女性ってこっちだとかなり男に嫌われるタイプらしい。
ネットで調べた。
150センチくらいで、とっても可愛らしいんだけどな~。
どれどれ、お兄さんがサービスしてやろう。
「暑いですね、動くとやっぱ。汗が止まんないですよ」
これは勿論嘘、ではない。
実際暑いし、止まらない。
そう言いながら、わざとお腹を見せつけるように、体操着の裾を捲って顔を拭く。
胸元まで見えてる。
乳首もチラチラ。
前世で言うと、美女(痴女?)のサービスショット!
「こ、こら霧桐! ……ごく……す、すごい……♡」
「ん? 何ですか?」
「何ですか? じゃないだろ! ダメだろ男が胸とか腹とか見せたら!! ……もっとみたいなぁ」
どっちだよ。
「そうですけど、そんな法律あります? 減るもんじゃないし、俺はそんな気にしないですよ?」
これは人助けだ。
可哀想な先生、男に見向きもされない先生を救うための。
オカズを提供してんだもん、こんなの献血と同じ、もしくはそれ以上の行為に違いねーな。
「そ、そういう問題じゃなくてだな……だから……」
「タオル忘れちゃったんですよ。今回くらい大目に見てください」
真っ赤になって、チラチラ見ながら注意してくる先生。
説得力がありませんよ。
つか上目遣いが可愛い。
「なら先生のタオル使うか? はは、何てな! 冗談だ!」
「あ、いんすか? あざーす」
使うか? の辺りで、先生の首にかかってたタオルを奪う。
いい匂いする。
俺が裾を捲った辺りから、ガン見していたクラスの女子たちが短く悲鳴をあげるが気にしない。
ふふ、先生。
自分の言葉には責任を持てよな?
「お、おい……む、霧桐っ! そ、そそそそれ、アタシの汗……」
「ふう……あ、先生これ洗って返しますね?」
キーンコーンカーンコーン……
ちょうどそのタイミングで授業が終わった。
放心状態の先生が、ボンヤリしたまま授業を終わりにして、俺たちは体育館を後にする。
「あ、あの霧桐くん! 良かったらこれ、使って?」
教室に着くと、更衣室に向かおうとした俺に声がかかった。
クラスメイトの女子が、制汗シートをくれた。
普通に嬉しい。
因みに女子は教室で着替えます。
教室←ここ重要。
「ん、いいの? ありがと咲樹さん。あとさ、俺のことは冬夜でいいって。自己紹介でも言ったじゃん、な?」
「わ、私の名前……覚えててくれたんだ……咲樹って……咲樹って……うふふ……」
聞いてねーわ。
「と、冬夜くん! よかったらこれも……」
「あ、ズルい! 冬夜くん、これ使って!」
「あ、あのっ」
うお、すげ熱気。
嫌じゃないけど。
いい匂いがする。
汗とシャンプーの混ざった匂い。
堪らん。
オッパイがムギュムギュ。
ああ、ここが楽園か。
このあとみんなを宥めて、普通に着替えた。
体育より疲れました。
■□■□
「お兄ちゃん、もう大人気なんだよ? 自覚ある?」
「ん? そうなのか?」
知ってますが?
まあ、大人気になるような行動をしてるしな。
例外は『王子様』の時だけだ。
あれは想定外だった。
「そうですよ、冬夜さん。SNSも冬夜さんの話題で持ちきりで、私たちまで質問攻めですよ?」
「とーやにー、すげーなー。こんだけ神掛かってるからなー、しょうがないんじゃない?」
学校帰り。
俺は冬華と加那、それから七海を伴って歩いている。
わーい。
しかし随分有名人になったな俺。
女子からは天使のごとく。
一部では神格化されとるらしい。
ふはは、善きに計らえ。
ただ、世の男性たちからは嫌われているようだ。
そりゃもう魔王のように。
ビッチだの、媚びを売ってるだの、男の品位を落とすだの。
たてば大王座れば魔王、歩く姿は独裁者。
ふははははっはっはっはっはっは!!
何とでも言え。
このカス共が。
容姿能力人柄総てにおいて貴様らより上だ。人柄? 気にするな。
ニートと一緒にされるとかマジあり得ねえんだけど。
だって俺、自己紹介で将来の夢って皆言ってたからさ。
俺もちゃんと言ったんだぜ?
『民間警備会社の社長か軍人です』ってな。
自分の能力活かせる職に就きたい。
将来、ね。
この世界で生きていくのは、楽だけど意外と大変そうだ……
閑話休題
「そのうち熱もさめるだろ? 気にしてもしょうがないさ」
俺は、飄々とそんなことを言ってのけた。
内心では、セフレ1万人できんじゃね? とか思っているのだが。
人類みな子孫!
「お兄ちゃん……ホント、気を付けてよね?」
「んん、分かってるよ。っと、じゃ、加那。七海、またな」
「じゃーねー!」
「はい、さようなら」
「ばいばーい!」
二人と別れてまた歩き出す。
四人で帰るのも、段々日課になってきてんな。
「お兄ちゃん! え、えへへ……♡」
冬華が手を握ってくるのも、ね。
ま、こんな毎日も悪くねえな。
汗と埃まみれの前世も、それなりの19年間だったが。
こっちの人生もいい感じだよ。
こんなふうに、今日も今日とて日々を過ごす。
俺は結構幸せ……か?
うん、幸せだ。
激カワな妹が、俺の手でオナッてくれるしな!
女性にしつこく名前を呼ぶことを要求するのは、NGだと私は思います。