episode twenty-five
ふぉおおおおおおおおおお!!
いえーい!!!
オッケェーイ!!!!
俺、参上。
ああ、なんて清々しい朝なんだろうか。
日はまだ出ていないんだが。
自室のベッドの上で、大きく伸びをする。
「……んん」
といううめき声。
もちろん俺の声ではない。
楓さんのものである。
おめでとう楓さん。
貴女は昨夜、オンナになりました。
昨夜は激しくヤり合った後、ダウンした楓さんを抱えて俺のベッドに寝かせた。
汗とかアレとかソレとか、とかとか。
色々なものにまみれた俺たちはそのまま眠って、この素敵な朝を迎えたのだ。
お陰で俺は頭も心もスッキリ爽快。
ついでに体もガッツリ全快。
「……むぅ」
楓さん、丸まって寝るんだね。
拳を口許に当てて、むぅだのすぅだの寝息をもらしている。
今日は寝かしといてやるか。
今日の早朝トレーニングはお休み!
責任は俺がとる。
春賀も寝かしといてやろう。
しっかし昨日は最高だった。
久しぶりってのもあるんだろうけど、半端じゃない具合だったな。
つか、今までこっちで抱き合った女の子達は、誰も彼もみんないい具合だったんだよな~。
精を確実にもらうために、長い時間をかけて進化した結果か?
何にせよ、素晴らしい世界だ。
階段を降りて、シャワーを浴びる。
あ~……しみる……
シーツとか毛布も洗わなきゃな。
カペカペになっちゃったよ。
俺と楓さんのアレで。
「ふう、スッキリ」
体を拭いて、楽な服を着る。
リビングに腰をおろして、柔軟だけ入れた。
「……冬華の部屋行っちゃおうかな?」
行っちゃおう。
イッちゃおう。
壁伝いに冬華の部屋まで来た。
あ、母さんの部屋隣じゃん。
ムリだヤれない。
俺、冬華に色々教え込んでるし。
冬華もけっこう声出ちゃうタイプ。
バレるわ。
浅慮だった……くっ、無念……
とりあえず入ろう。
「……突撃隣の晩ごはん(意味深)」
小声でバカな事を呟きながら、冬華の部屋に浸入。
うんうん、可愛い寝顔だ。
ほっぺたをツンツンしてみる。
プニップニじゃん。
「……ふぅむ」
おっと、やりすぎた。
さて、そろそろ帰りま……せん!
ベッドに潜り込むんだ。
そのために来たんだから。
ヤれないのが残念だ。
でも冬華の体は暖かくて柔らかい。
抱き締めているだけで、とても心地がいい。
「……んしょっと」
モゾモゾとベッドに潜り込む。
大丈夫、起こしていない。
ここで、俺の行動をダイジェスト。
昨晩女をレイプ、処女を奪う。
その女性と同衾、一夜を過ごす。
しかし、明朝別の女のベッドに潜り込んだ、俺。
……くくくくく、男の鏡だ。
絶対に真似したらヤバいやつこれ。
でも複数プレイしたいから、いつかは家庭内お手付きピーポーズをうまく噛み合わせねば。
親子丼も食べたいし、義理姉妹丼もいいなぁ。
義理三姉妹も食べてみたい。
三色団子みたいな?
夢が広がるぜ。
あーいい匂い。
柔らかい柔らかい。
きゅっと冬華を抱き締めていると、冬華も俺を抱き締め返してきた。
むぎゅー。
oh,yes
神よ、感謝します。
人間て、深く寝入ると結構起きないもんだな。
俺はダメ。
起きちゃう。
頑張れば寝る時間も調節出来る。
気持ち悪いからやりたくないけど一生。
整理現象に任せるのが一番だよね!
性欲とか性欲とか、あと性欲とかも。
冬華が起きたら1回部屋に戻らなきゃ。
起きてるかな楓さん。
シーツとか、洗い物出さないと。
冬華の頭を撫でながら、俺はそんなことを考えていた。
■□■□
二時間ぐらいして、空には朝日がしっかり登った。
「……ふぇ、お兄ちゃん……?」
あ、起きた。
「ん、おはよう冬華」
「お、おはようございます……え? あれ? お兄ちゃん!?」
おお、慌てっぷりが。
可愛いなぁ。
「さあ冬華、顔を洗ってなよ」
ほら、と手を出して冬華を引き起こす。
「え、う、うん……よいしょ」
「じゃ、行こうか」
「うん!」
ちょっぴりアホの子、冬華。
俺が隣に居たことは、もう些細な出来事になったようだ。
俺に手を繋がれ、朝から上機嫌で洗面所にむかう。
冬華に身支度を整えさせている間、俺は部屋に戻って制服に着替えた。
「んん……あぅ……ふあぁ~……」
お、どうやら楓さんも起きたようだ。
「あ……と、冬夜様……お、おはようございます」
恥ずかしいのか、毛布の縁を掴んで、顔半分覗かせながら挨拶をしてきた。
お前は本当に20代か。
瞳のうるうるが幼女だよ。
「おはよう楓さん。体の調子は大丈夫?」
「あぅ……は、はい……大丈夫です」
もにょもにょしながらこたえる楓さん。
俺は近付いて頬を撫でた。
「そっか、じゃあシャワーを浴びてきなよ」
スンスンと首もとの匂いを嗅ぎながら言った。
……うん、とってもえっちぃ匂いがする。
「うぅ、はい……」
楓さんは自分の匂いをかいで、へにゃっとした顔になった。
この匂いは慣れないと嫌だよね。
特に自分の出した体液の匂いだから、余計嫌かも。
俺は普通に舐めたりしてるんだけどな。
慣れれば平気だよ、慣れればね。
慣れるまではキツいけど。
「ほら、適当に何か着て」
俺のパーカーをタンスから引っ張って楓さんに放る。
「あ、ありがとうです……」
いそいそとパーカーを羽織る楓さん。
あー、彼女のダサジャーも回収しなきゃ。
にしても楓さん……うわぁエロ。
少し大きめのパーカーだから、な?
わかるだろお前ら。
しかもパーカーオンリーだから、な?
わかるだろお前ら。
でもこの格好で冬華たちと遭遇したらアカン。
今はまだその時では無い。
雌伏せよ、俺。
耐えろ、俺。
頑張れ、俺。
俺も手早くシーツや毛布を纏め、胸に抱えて部屋を出た。
後から楓さんも続く。
途中あのジャージも向かい部屋から回収して、風呂場へ向かった。
ふぅオッケー。
遭遇なし。
「それじゃ、俺は出てるから」
シーツ類とジャージを洗濯機に放り込んで、洗剤を入れて回す。
ゴウンゴウンブインブイン。
お勤めご苦労。
洗濯機よ、お前も大変だな。
後でしっかり掃除と点検をしてやる。
それまではしっかり職務を果たしてくれ。
母さんや冬華、楓さんとか春賀の出汁が染み込んだ衣類は、お前に託した。
頑張れ。
その後、着るものを持って行かなかった楓さんが、脱衣場でネイキッドオロオロしているところを母さんに救出されたり。
春賀を起こしに行ったら、何故か顔を赤くしたり青くしたりしながら土下座されたり。
いくつか事が起こったが、また日常が流れていった。
因みにクラスの女子たちとは、俺しか使用者が居ない3年男子更衣室に連れ込んで隙間時間コトに及んだ。
最初っからこーすりゃ良かったんだな。
ラブホは金がかかるし、本人の家は行くの大変だし。
「ん、冬夜く、んん……だ、誰か来ちゃ、あん」
「……実は興奮してるでしょ?]
「………………はぃ♥」
ああ、着エロ最高。
■□■□
~春賀~
冬夜さんに顔をみられ、でもあんなに優しくされて。
余りの暖かさに、冬夜さんが帰った後寂しくて死んでしまいそうで。
思わずさっきもらったスマホで、電話をかけてしまった。
「……行かないで」
なんて思わず口走って、でも、それなのに冬夜さんは戻ってきてくれた。
感情を押さえきれない。
「行かないで。もう一人は嫌」
バカな私。
まともに言葉も喋れないような女に、優しく接してくれる冬夜さん。
こんな私を、自分の家まで呼んでくれた。
本当に夢みたいだ――
とか思っていた時期が私にもありました。
拾ってもらって、かれこれ一月あまり。
拝啓、未来の私。
生きてますか?
敬具。
冬夜さんは、私をメイドとして扱ってくれている、らしい。
だからそのために必要だといわれ、毎日毎日走ったり走ったり走ったり走ったり走ったりエトセトラ……
冬夜さんや楓教官が一緒にやって、やりきれているから私がめげるわけにはいかないのがよりキツい。
最初は楓さんと楓教官のギャップに驚いたけど、今はもう受け入れることができた。
もう別人のように変わるから、最初は誰かと思った。
でも、ここでは誰も私を苛めない。
誰も無視しない。
この傷をみても、顔をしかめて離れていかない。
それだけで、私は嬉しい。
でも最近は疲れすぎてフラフラする。
テストに勉強。
毎日の日課。
劇の練習も大変だ。
せっかく主役に選ばれて、冬夜さんと一緒に舞台に立てる。
だから手を抜くワケにはいかない。
でも、今日はもう無理。
そう思っていたら冬夜さんが、
「春賀、疲れてるだろ? 今日はもう寝ていいよ。限界までやることと、無理をすることは違うからな」
て言ってくれた。
「う、いい?」
ああ、また喋れない。
冬夜さんにこんな失礼な言い方しかできない。
こんなのじゃ、いつか捨てられちゃう……
でも、冬夜さんは私の頭をいつも優しく撫でてくれる。
おっきくて、暖かくて、とても心地がいい。
「ああ、しっかり休めよ」
「う、ありがと」
はぁ~……まただ。
私は冬夜さんを見送って、私にあてがってくれた部屋に入った。
楓さんの隣だ。
普段は楓さん、ヤバいときは楓教官。
「むう……ふかふか」
ベッドに倒れこむ。
気持ちいい。
今まではずっと布団で眠ってきた。
ここに来て最初の頃は寝つけなかったけど、いまはバッチリ眠れる。
布団だった頃、まだお母さんが居た頃、よく一緒の布団で寝たなぁ。
……ぐず。
うぅ、寂しいよ……お母さん。
慣れたハズなのに。
もう一度温もりに触れたら、もう我慢ができなくなってきた。
枕をぎゅっと抱き締める。
「う、冬夜、さん」
普段は、さんを付けないで呼んでいる。
失礼なことばっかりだ。
でも、頼んだら一緒に寝てくれるかな?
……よし、言うだけ言ってみよう。
部屋を出て、階段を登る。
コソコソすることにかけては少し自信がある。
楓教官も認めてくれた。
冬夜さんの部屋の前まで来た。
トントン
寝ちゃったのかな。
返事がない。
そろ~っと開けてみた。
「……?」
あれ、いない。
こっちかな?
部屋で日課をこなすときに使われる部屋の前に行ってみる。
こっちでも、そろ~っと扉を開けて中を覗いた。
「んんっ、あっ、んちゅ、ちゅう……はぁ、んん、冬夜、さまぁ♥」
「ちゅ、れろ、んん、これどう?」
「あ、あぅ……き、気持ち、いいですぅ♥」
え。
「ッ!?」
慌てて口を押さえる。
ゴクン。
ウソ……
あ、あれ冬夜さんだよね……
あっちは楓さん。
胸がドキドキ鳴っている。
目が離せない。
うわぁ、冬夜さん……スゴい……
あ、あんなふうなんだ……
悪いことだって分かってるのに、覗きを止められない。
下腹部が、きゅんっとする。
膝に力が入らない。
その場にペタンとへたりこむ。
私の手は、無意識の内に股ぐらへと向かっていた。
そこはもう湿り気を帯びて、完全に発情した雌になっている。
「……っ、……!」
あ、冬夜さん……♥
そうして私は狂ったように快楽に溺れた。
次の日の朝。
私は寝坊した事と、昨夜の事とで、起こしに来てくれた冬夜さんの顔をまともに見ることができず、とりあえず土下座をした。
捨てないでください。
ああ、後でこっそりぱんつ洗わなきゃ……




