表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/37

episode fifteen

「ここ、どう訳すんですか??」


「ああ、これは『~すべきだ』って訳せばいいんだよ。目上や友人には使っちゃダメだよ?」


「どうしてですか?」


「上から下に言うような言葉だからな。強制的にやれ、みたいな意味がある」


「じゃあ、~した方がいいよって、友達とかにはどう言えばいいんですか?」


「ああ、had betterじゃなくて、ん~couldを使えばいいんだよ。そうすれば同じ『すべきだ』ってなるけど、含まれる意味が優しくなるからね」


「なるほど。ありがとうございます! 冬夜さん、スゴく頭いいんですね!」


「はは、ありがとう。加那だってしっかりやれば出来るようになるって。後はどんどん使うだけだよ」


「はい!」


 何をしてるかって、ご覧の通り勉強だ。

 もう3時間くらいやっている。


 やはりハイスペックなだけあって、授業の理解レベルとか結構高い。

 冬華や加那は言わずもがな、ちょっとおバカそうな七海もかなりできている。

 

 やっぱこの世界の女性は基礎スペックからチートだわ。

 進化ってスゴい。


 で、進化繋がりで生物的な話になるんだけど。


 近交弱勢って現象がある。

 簡単に説明すると、近親者で交わり血が濃くなっていった結果、精子やその他に奇形が増えやすくなるって話である。


 ハンディを負った子が生まれやすくなってしまうのだ。


 日本が近親相姦を禁止していたのは倫理的な問題もそうだが、生物学的な問題もいくつかあったからなのである。

 

 調べた感じ、近交弱勢は高校の生物で習うと思う。


 今から冬華に子作りを諦めさせる言い訳を考えております。

 はい。

 今は学生だから~とかでごまかせている。


 避妊万歳。


「ルシf……とーやにぃ、これどうやって解くの??」


「ん? ああ、この時間をXで置き換えてごらん」


「うん……あ、解けた」


「必要なところだけピックアップして考えていくといいよ。文章題はどんな計算式を使うか突き止めるかがモノをいうからな。それさえ分かれば、後はただの計算問題だ」


「うん! ありがととーやにぃ」


「おうおう、しっかりな」


 ぐしぐし頭を撫でてやると、気持ち良さそうに目を細める七海。

 なんだかゴロゴロと幻聴が聞こえてくる気がする。

 本当に猫っぽいよな。





■□■□





 それからさらに20分ほど経って、冬華がうーんと伸びをした。


「もう疲れちゃった!」


 同意。

 激しく同意。

 さすがにぶっ続けで三時間ちょいはキツい。

 いくら美人に囲まれていようともな。

 世の非リア諸君は平気なのかもしれないが、俺は前世も今世も勝ち組なんだ。

 無理なもんはムリ。


 バチン!!!


「痛ってえ!!」


「わ、どしたのお兄ちゃん?」


「……いや、なんか……ううん何でもない」


 何か、うん、何かしらに何処かしらを叩かれた。

 とても痛かった。

 

 う~ん、まいっか。


「じゃあ、そろそろ終わりにすれば?」


「5時……そうだね、今日はこれでやめよっか」


「そうね」


「おーう」


 わらわらと勉強道具を片付け始めたみんな。

 俺は読んでいた歴史の教科書を閉じるだけだ。

 二学期から、社会は公民になるらしい。


 四人分のコップを流しに持っていき、玄関に向かった。

 二人の見送りだ。

 然り気無く気を使って、俺という存在を十二分にアピールする。


 策士。


「それじゃ、冬華。またね。冬夜さん、お邪魔しました。お陰で不安なところが無くなりました」


「ああ、良かったよ。気を付けて」


「ばいばいとーか! とーやにぃどーもありがとうございました!」


「んん、頑張れよ」


「じゃーね、二人とも!」


 二人は一緒に玄関をあけた。

 だが、七海がこっちを振り返り、期待半分くらいの表情で俺を見てきた。


「あ、あのとーやにぃ! こんど、こんど泊まりに来ても、いい?」


「な、ちょ、七海ずるいわ! あ、あのじゃあ冬夜さん、私も……?」


 おぉぉぉぉぉっと!

 ここで冬夜選手にデザートが転がり込むチャアァアアンス!!


 さあ、冬夜選手どうでる!?


「俺は別に構わないけど、後で母さんに訊いてみるね? 二人の家はいいのかい?」


 冬夜選手、二人の事を逆に心配する紳士をアピールだ!

 セコい、実にセコい。

 小説に出てくるような男がとる態度ばかりとっているぅ!


「アタシのお母さんはいっつも仕事で居ないから! だいじょーぶです! お父さんには会ったこともありません!」


「私の家もそうです。父の名前すら知らないですね、そういえば」


 カウンターが決まったぁ!!


 策士、策に溺れたぁ!!

 

 地雷を踏んだ感ありますねぇ?


 以上、霧桐家玄関戦。

 実況は冬夜、解説は冬夜でお送りいたしました。


「そ、そうか。じゃあ、オッケー出ると思うし、楽しみにしてるよ。な? 冬華?」


「うん!」


「「わあ! やったあ!!」」


 二人を見送って玄関を閉める。

 

 ふう、母ちゃんが忙しいってのは想定外だった。

 父親の扱いは、何処の家でもあんなもんか。

 

 俺も彼女たちの父親がブタくんとか思いたくない。

 彼女たちの母親がブタくんに抱かれるとか考えたくもない。

 胎に精子が入ってるの想像するだけで殺意。

  

「? どうしたの、お兄ちゃん」


 おっと、ボケッと突っ立ったままだったな。


「ああ、いや。何でもない」


「そっか。あ、あの、じゃあ、二人とも帰ったし、お母さんはまだ帰ってこないんだよね~……?」


 ちら、ちら、と俺を見てくる冬華。

 目は潤み、頬はほんのり上気している。

 

 ハハン、わかったぞ。

 さてはお前、発情したな?


「そうだな~……ちょっと外走ってこようかな」


 だがあえて気づかない振りをする!

 あくまで受け身だ。

 常に受け身を心がける。


 酒に酔ったときのみ、アクティブになるのだ! という設定。


「あ、あの! お兄ちゃん……シても、いい?」


 俺の裾をつまんで、そう告げる冬華。

 チョロい。

 題するなら、『俺の妹がこんなにチョロいワケがない。』ってか?

 

 だがしかし、事実。


 嗚呼、何て甘美なる哉。

 素晴らしい。

 素敵な妹をもって幸せだよ。


 心も体もな!


「……ああ、いいよ」


 真顔のまま顔を近づけ、耳元にこそっと告げる。



 あーはよヤりて。





■□■□





 そんなこんなで、晩ごはん。


 俺は男性警護官の話を出してみた。


「……ってわけで、やっぱり一人雇ってほしいな~って」


「そう! やっと決めてくれたのね! 冬夜くん、いつも一人で出掛けるから心配だったのよ」


「警護官の人なら信用できるなね! 私も警護官目指そうかな~……そしたら1日中お兄ちゃんと一緒にいられるね!」

 

 あっさりオッケー出ました。

 妹よ、目指すのであれば、お兄ちゃんが手伝ってやろう。

 要人警護のイロハと戦闘技術、それから殺人技を叩き込んでやるよ?

 体に直接な。

 

 響きがエロいよね、体に直接って。


「ありがと、母さん。冬華、一緒にいるだけじゃ仕事にならないぞ?」


 ハハハ、と優しく笑いながら、内心は体に直接叩き込む妄想をしている。

 

 あ、やべ股間(ジョースター)が。


「んん、ところで母さん。今日冬華の友達が来てたんだけど……」


 そこで切って、冬華の方へ顔を向ける。

 うん、どうやら伝わったみたい。


「あ! そうそうそれでね、加那ちゃんと七海ちゃんっていうんだけど、二人が今度泊まりに来たいって言ってたんだけど、いい?」


「ええ、お母さんは別に構わないわよ?」


「やった! ありがとお母さん! 二人とももうお兄ちゃんにメロメロでね~。二人ともいい子だから、信用もできるし!」


「ふふ、さすが冬夜くんね! 会社でも、冬夜くんのお話聞きたい子がいっぱいいるのよ!」


「すごいねお兄ちゃん!」


「買いかぶりすぎだって、みんな。俺はそんな大層な人間じゃないぜ?」


 被ってる被ってる被ってるよぉ俺! 猫被ってんだよお!


「そんな所がもうほんと……自慢のお兄ちゃん!!」


「うふふ、またみんなに自慢することが増えたわ」


 よし、これで加那&七海(デザート)は確保した。

 

 さらにすっとぼけて謙虚ぶりをアピール。

 銘柄、霧桐冬夜の株価は急上昇。

 

 いいぞ母さん、もっと話せ。

 俺を金持ちの会社役員たちに知らしめろ。

 いすれ直接会ってやろう。

 金持ちの知り合いは居て損はない。

 どうせ美人だ、仲良くしてえよ。


 ベッドの上で。


 身も心も、ついでにお財布もウハウハになることだろう。

 金もあって困ることはねえからな!


 あーほんとこっちの人生ベリーイージーマジ感謝。

 50年後には俺の子孫で世界を掌握したい。

 いや、やりようによってはイケるかも?


 文字通り、ヤりようによっては。


 野望はでっかく持つのがベスト!

 夢は見るだけタダだからな。


「そんな大袈裟な……それじゃあ、母さん。今度役所に申請出して、警護官派遣センターに行こうね」


「わかったわ。なるべく早く、休みを貰うわね」


「私も行く!」


 イッただろ、さっき。

 ベッドの上で3回も。

 

 なんちって。


「冬華も連れていくって……それじゃ、宜しくね母さん。ごちそうさま」


 苦笑いを浮かべながら、食器を片付ける。


 例のごとく、俺の頭の中はさっきの濡れ場を思い出していが。

 冬華の具合は最高なんだ。

 ほんと思い出すだけで……おっとマズい。


 はは、落ち着けって。




 自室に向かって、今度は明日の事を考える。

 

 明日は裕璃の家、つまりレストラン名香野で昼食をとって、そのまま勉強会なのだ。

 

 参加者は裕璃を含んだクラスメイト10人くらい。

 きっと俺を交えて11Pになるんだろう。


 てか、なってほしい。

 寧ろなるように持っていく。 


 クラスメイトたちとは、定期的にエッチをしている。

 向こうからお願いしてくるのだが、けっしてがっついては来ない。

 攻め3割、受身7割的な感じ。


 理想のセフレだわ。


 最近この発想クズだ~って思うけど止められない止まらない。

 

 俺男だし?

 男の中の男、トゥルー男。

 そんなんだからしょうがないよね。


 クラスのみんな、あの大乱交パーティーから健気で献身的で可愛くてしょうがない。

 つまりみんなが悪い。


 俺悪くない、OK?


 JCの盛り合わせとか最高かよ。


 この世界の女性の性欲は元の世界の男並みだからな。

 乱れっぷりがグレート。


 明日が待ち遠しいぜ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ