SFとSL―スチームパンクのすゝめ―
今日はどうも小説が書けないのでエッセイ第2弾
蒸気機関車の運転台を思い浮かべることが出来るだろうか。私ほどの蒸気機関車好きになると、すぐに明確にできるのだが、ほとんどの人は出来るとは思えないから、少し調べて見ると良いだろう。大きなハンドル、レバー、沢山のバルブ。その次は外装だ。赤銅色の配管がボイラを這い、鉄の太く黒い配管もうねっている。足回りには頑丈で大きなロッドがむき出しで繋がっていて、絡み合っているようだ。
このような書き方をすると、まるでSFだかのロボとか何とかの用な描写である。さておき、これ等複雑に絡み合っている配管も、幾多のバルブも、蒸気機関車の場合、何一つ、何一つ無駄はないのだ。今ならブルーテゥースだか何だかでサボットモータを制御すれば良いのだが、蒸気機関車の時代にそんな物はない。だから、全ての所に蒸気が生み出す力が使われている。所によっては圧縮空気であるが、その圧縮空気自体は蒸気が生み出す。
つまりだ、蒸気機関車のように、全ての所に蒸気が生み出す力をつかえば、鈍色の配管が這う素敵ロボが出来上がるのだ!!さて、妄想してみよう。間接は蒸気シリンダで曲げるとして、ボイラは胴にあるか。間接を曲げるのに一々バルブを回すのは現実的でないから、ペダルやレバーの形にして、操縦者の周辺に纏めれば良い。いやはや、機体内外を赤銅色の配管が這う、素敵ロボを想像してくらくらしてしまう。しかも蒸気機関は冗長的だ。水を入れ、燃料を入れて、更に蒸気が沸ききるまで何時間も掛かる。だから、火を絶やさず、水を絶やさぬように暖機を続けるだろう。しかも戦闘中に水が無くなるとかネタは尽きない。更に冗長的と言えるのが、天候と、整備のおっちゃんの気分に左右される事だ。だから、ここで整備のおっちゃんとの信頼形成をネタにすれば話は捗る。
で、撃破方も、なかなか面白い手がある。安全弁を狙い打てば良い。蒸気が漏れて無力化出来る。更に蒸気機関車でもそうだが、シリンダ側にも安全弁がある。それを壊して開きっぱなしにすれば力が出ないのだ。逆に固く閉めてやれば過負荷でそのうちシリンダが破壊する。あっ、寧ろ主人公のネタにも成りそう。明らかに強力な敵に勝つために過負荷で扱って、壊れる限界に至ったときに颯爽と登場するヒロイン機。イイネ、堪らない。過熱蒸気漏れで焼け死ぬとかも使えるネタだ。あれだ、対歩兵で、過熱蒸気を吹き付けるという、残酷な奴もアリだ。過熱蒸気はD51で300度程度。服が焼けるには十分だ。焼き殺してお仕舞い!!
このように、蒸気機関車を知っている私はスチームパンクに対して様々な妄想が広がるのだ。SFを扱いたいならば、現実の機器を知るのも一つの手だ。そして私は蒸気機関車を推す。何故か。わりかし全国で保存されているから、見てきて想像しやすいからだ。
以上、SFに近頃興味を持ち始めたSL好きの言い分である。
ハードSF者なんて言葉が有るなら、ハードSL者なんて言葉が有っても良いと思うの。