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イタチの草刈り鎌

本筋とは僅かしか関係無いような小話です。すみません。


 村の世話役さんがひょっこりあらわれました。池の上の谷沿いに草藪と化した休耕田がありますが、あまりにボサボサになってるので何とかしたいという話。もともと水利が悪くて田には向かない場所で、早くから耕作放棄されていたらしいです。つまり、僕が池の土手の草刈りするついでに藪を刈り払ってほしいという事でした。

 夕食の時にこの話をしたら、なんと、ちびたちが食いつきました。エルフさんの技を基に考えた『新型カマイタチ』の練習をしたいみたいです。「鎌って草を刈るものだから」って。


 幼稚園児が草をバッサバサ刈り飛ばしていたら変ですから、村から見えない奥の方から刈ってもらう事にしました。今日は3人で朝から草刈りに。お昼御飯に一度戻って来て、今度はおやつと水筒も持って。夕方に帰って来たときは全身草だらけになってました。「だいぶうまく刈れるようになったよ。」「今日は3人でいちばん奥の田んぼ1枚しか刈れなかったけどね。」「ボクたちだけで全部刈っていいでしょ。だいたいコツがわかったから。」

 エルフの風魔法遣いのワサカさんから「Wind Cutter」の出し方を教わったそうです。アキちゃんの説明によると、空気を板のような形に集めて、勢いを付けながら押し出すと、先の方が押し固められて硬くなって、それが当たった物を叩き切るという感じらしいです。「ボクたちの鎌鼬は素早くて切れ味はいいけど、一度に少ししか切れないんだよ。ワサカさんのやり方だと一度にバサ~って広く刈れるんだよ。」「空気の板の先を早く動かすほど良く切れるって言うから、ふとしにいちゃの草刈りの機械の真似したら、すっごく調子良く苅れるようになったんだよ。」


 翌日は陽子さんと一緒にちびたちの草刈りの様子を見に行きました。ちびたちの『新技』は予想外でした。あれは鎌じゃないです。グラストリマーでした。エンジンでワイヤーをぐるぐる回して草を刈るやつです。ちびたちのは、その回転部分の直径が2mぐらいあります。ブーンと音をたてて砂を含んだ風が円盤状に回転して草を薙ぎ払いながら左右に動く。ファンタジー物の風刃ってこんな凶悪な物じゃなかったはずです。「まだ一度に長く続けられないけどね」ってハルちゃんは言ってますが、田んぼの1辺をひと薙ぎで刈り倒してます。

 陽子さんの話では「妖術の技の基本は、思い描く形に気を操ること」なんだそうです。誰かに師事して習得することもあるけれど、たいていは発動のきっかけだけ身につけて、あとは自分のイメージ次第なんだそうです。「しかしこいつら、見覚えた母親の技を真似て鋭い鎌鼬を出せるようになり、今度はエルフの技を基にこんな技を考えつくとはなあ。」 そういえばちびたち、草を刈る大鎌って見た事ないんですよね。だから草刈りする道具ならばトリマーってイメージなんですね。きっと。結局夕方までかからずに4面分の草藪が刈り払われました。

 「お~い、おまえたち、刈った草を集められるよな。明日の朝に焼くから。」という陽子さんの指示で、刈った草を風で飛ばしながら畑の中央に集めています。今度はエンジンブロワーのイメージですね。


 風が強くて刈った草の始末はもう1日先延ばしになりました。翌々日は土曜日。陽子さんが草を焼くなら火の用心と思ってミヅチのみ~ちゃんに声をかけたら、らいむちゃんやスナおばちゃんもやって来てピクニック状態になりました。たまにはこんな日があってもいいでしょう。陽あたりの良い所にシートひいてお弁当広げて。

 枯れ草を集めたあたりで、らいむちゃんがちびたちになにやら指導してます。枯れ草山に向かって気合いを入れて「んんんっ」「えいいえいいっ」「ハッ・ハッ」って。なにやら新技みたいです。そのうち、突然草山の一角からボンって爆音とともに火の手が上がりました。「やったぁ!」「それぇっ」「あはは、燃えたよ」 燃え上がったところへさらに風を送って火を大きくしてますね。僕は風の壁で囲って火の粉が飛び散らないように指示しました。み~ちゃんが来ているので、らいむちゃんが試させたらしいですが、妖怪の解説本に書いてあった「鎌鼬が火事を起こす」ってやつらしいです。空気の断熱圧縮・・・ディーゼルエンジンですか。見える範囲の可燃物に点火できるって・・・・子どもだけで火遊びは絶対禁止です。


当初の予定より無駄に話数が増えてます。

話の進行が遅くてすみません。

魔獣暴走まではまだしばらくかかります。


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