新しい日常?
昨晩の事は夢であってほしい。朝起きて、そう思いながら居間へ行くとやはり夢ではありませんでした。2人?はまだ寝てました。フェレット3匹は部屋の中をうろうろしていましたが、戸を開けてやると外へ出て行きました。お散歩? あ、おトイレかな?
とりあえず卓袱台のまわりを片付けて、朝ごはんの用意。僕は朝飯はちゃんと食べます。きっと、あの狐と猫も食べるでしょう。パンを出して、野菜を炒めて、卵を焼いて・・・・ あ、フェレットたちは何を食べるのかな。とりあえずハムとミルクぐらいで・・・ 匂いが拡がる頃には2人?も起き出して来て、フェレットたちも戻って来ました。誰かと一緒に食べる何年ぶりかの朝食。妖相手でもちょっと楽しいものですね。
「このあたりに稲荷神の社はあるかなあ。しぱらくぶりだから消息を伝えておこうかと思ってな。」 お狐様はやはりお稲荷さんと関係があるようです。
「たしかこの村の神社はお稲荷さんだったはずです。」家の前の池の向こう側、山裾の鳥居の奥。お社の前に石の狐があったはずです。「すぐ近くです。」
「それは好都合。土地神様へ挨拶と一緒に済ませられる。」「そうだね、ここで暮らすのだから、ちゃんと挨拶しておかなきゃね。」 やはりここに居着くつもりですか・・・
耳が付いている若い女性が2人。ここは都会ではなくて、半ば過疎っている農村。詮索好きなお年寄りが多いです。都会から若い者が一人越して来ただけでも目立つのに。人前では耳は隠してもらうにしても、絶対に怪しまれます。
結局、追い出しは失敗。空いている母屋に借家人という形で住んでもらう事になりました。できれば家賃払ってほしい。僕が落ち着くまでは、2人にはしばらくは姿を隠しておいてもらうことにしました。 「人が近づけば気配でわかるからだいじょうぶだよ。」 だそうですが。
まずはお稲荷さんに挨拶。稲荷神社に行くと、突然あらわれた茶色の狐が頭を下げていましたした。化け狐さんは、実はかなりの大物らしいです。
そのあと、僕は集落の世話役さんに挨拶に行きました。それから隣村にある農協ストアへ買い出しに。フェレットの餌ってあるかしら。同居人が増えたから食料も・・・ って、これ食費でたいへんなことになりそう。
農協ストアでは、犬用と猫用はありましたがフェレット用のペットフードはありませんでした。ちょうど作業着など特売してましたから、お狐さんと猫娘さん用に、靴とジャージの上下を買いました。あの服装では(ここでは)目立ちすぎです。昼食にお弁当を買って一旦帰宅。
たまこさんに訊くと、フェレットたちは「なんでも食べるけど、好物は鶏肉」だそうです。たまこさんは「お魚でもいいけど、やっばりお肉がいいなあ。」だそうです。一応ようこさんには「やはり油揚がお好きなのでしようか」って訊きましたが、「油揚って、江戸時代に肉の代わりにされたからだよ。わたしも鶏肉がいいねえ。」 うちの同居人?はみんな肉食派のようです。鶏は牛より安いけど、やはり出費だあ。
補注:稲荷神社で働く「守狐」は普段は姿が見せていません。大妖の狐が来たので姿を顕しました。