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食うか食われるか   注:この章には軽微ですが性的な描写があります

ドラゴンにとどめを刺して太志は勇者になりました。

勇者と仲間の美女?は・・・というのがお約束でしょうか?




  [ 注意:この章には軽微ですが、性的な描写があります。]


   ストーリー上必要と考えて書きましたが、お嫌いな方は後半を飛ばしてください。



 珠子さんは無茶をしすぎです。近接で使える強力な武器って、リクエストがホラー映画お馴染みのチェーンソー。あの場面でそれを抱えて空間転移で斬りつけにかかるとは。妖力が消されて猫にもどってしまうってのは珠子さんらしい所かもしれませんが、おかげで僕がそのチェーンソーでスプラッターやるとは。下敷きになった珠子さんを助け出す事しか考えてなかったけど、結果的に僕があの暴竜にトドメを刺したことになるらしいです。


 ファンタジー物語風に言えばドラゴンスレイヤーなんだそうですが、なんと僕には強い魔力が付いてしまいました。こちらの世界では妖力というらしく、陽子さんに言わせるとたいがいの中級の妖怪よりは強いぐらいだそうです。タッちゃんの考えでは、僕が珠子さんを抱えてものすごく速く走れたのはこの妖力の効果のようです。そこで何か魔法が使えるかと陽子さんに教わりながらあれこれ試してみましたが、今のところ何も出せていません。あっちの世界限定なのかもしれません。


 で、暴竜に妖力を無効化されてしまった珠子さん。陽子さんによると、妖力自体はだいぶ戻っているそうです。それでも、妖力を一気に失ったのと怪我のショックが大きいのでしょう。ふみぃふみぃって、時々鳴くぐらいで、何も食べずにバスタオルにくるまったまま座布団の上でずっと寝ています。

 一昨日の晩は小代ちゃんが心配して横で寝せていたのですが、昨晩は僕の部屋に運んで来ました。珠子さん、僕から精気を吸うって、ときどき夜中に押しかけて来てましたから、無駄に増えた僕の妖気が何か役に立つんじゃないかと思ったからです。


 夕食後、暴竜や魔獣の事から村の後片付けの話とか、あれこれしばらく話したあと、陽子さんと小代ちゃんは母屋の方に帰って行きました。僕はタッちゃんと電話で妖術の話を少ししてから寝ました。

 何やら寝苦しい感じがして、目が覚めたのは東側の窓がうっすら明るくなりかけた頃。


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 確かにパジャマ着て寝たはずなんだけど、僕は裸で大の字で寝ていました。そして、お腹の上には暖かくてちょっと重たい何かが。触るとぽよっと柔らかい。あれれ、珠子さん??

 「あはは、やっと起きたね。」やはり珠子さんでした。

 「よかった。珠子さん、心配したんですよ。ほんと、よかったです。」 でも・・・なにやら、僕の体の一部が妙な感触なんだけど。「珠子さん、また変化できるようになったのはいいけど、これはマズいような感じなんですけど。」 急いで珠子さんを除けようとしたんだけど、微妙な部分を押さえられた感じで離れないです。

 「あはは、太志の妖気、美味しくいただいてるよ。」 ええっっ。冗談じゃないですよ!

 「ええっと、珠子さんっ、ヒトは食べないって言ったじゃないですかぁ。」 そっと珠子さんの体を探ってみると・・・あれれは、今までふざけて絡んで来た時と違って尻尾がありません。慌てて頭を触ってみても猫耳じゃないです。

 確か・・・人の姿で交われば・・・って陽子さん言ってたけど。珠子さん、冗談じやなくマジみたいです。

 「ううん。そんな事言っちゃったけどなあ。でもこんだけ妖気持ってるんだから、もう妖と同じようなモノよね。だから、アタシが食べてもいいんだからね。」 ヒトで無い扱いにされてしまいました。なんか無茶苦茶な理屈だけど、珠子さんらしい気がします。怒る気はしません。むしろ何かかわいい感じ。


 あらためて、珠子さんの体を触ってみました。意外と小さいです。ぼてっとお腹の上に載られてるけど、それほど重くない。元気いっぱい気ままに暴れ回っている時はずいぶん存在感があるのに。「あれれ、珠子さんってこんなに軽かったんだ。猫に戻ってた間よりは重いけど。」

 「そりゃ変化が解けたら体重も元に戻るからね。でも女の子に『重い』は禁句だよ。」 珠子さん、変化が解けた時の事は覚えているんでしょうか。「魔力無効って、妖力も消されるのを忘れてたんでしょ。ドラゴンに潰された時は驚いたんですよ。」

 「えへへ、でも夢中で助けに来てくれた太志って、王子様みたいでカッコ良かったよ、血まみれでホラー映画っぽかったけど。んで、お姫様抱っ子で運んでくれて。あそこで、ちゅ~ってするんだよ、映画なら。」 珠子さん、いつもの軽口ではなくて少し気恥ずかしそうな口調です。

 「はあっ、でも良かった。珠子さんが元に戻って。でも、あの時は珠子さんが死んじゃうんじやないかって、それしか考えてなかったんですよ。」 笑い話にできるようになって良かったです。

 「太志ね。アタシってば、最初の時にヒトは食べないって言っちゃったんだよね。あの時は、こんな風になるなんて思わなかったんだもの。だから忘れてくれたら良かったのに、何かあると持ち出すんだから。仕方なしに、あれこれつっついて見ても、フトシから食べに来てくれないんだし。」「それで、夜中にイタズラしに来てたんですか。正直、反応しなかった訳じやないけど、ヘタに手出したら危なそうだったし。」 いくら年経た猫又だって言っても、見た目は高校生ぐらいですもの。妖怪だと判っていても危ないですよね。

 「太志のヘタレ。太志って、臆病すぎだよ。体力無くて運動鈍いし、鼠は怖がるし、木に登れないし。でもね、アタシやちびたちの事気にして、オタオタ走り回ってくれて。そういうトコは、カッコいいよ。」 ちょっとあっけらんとした元気な珠子さんが戻って来ました。そうです。僕とは全然違うけど、そんな珠子さんがと居ると楽しいです。「珠子さん、もう無茶は無しですよ。ボクに心配かけないでください。ずっと一緒に居て欲しいですから。」ちょっと腕に力が入ってしまいました。

 「あはは、太志、ありがとう。アタシもホントはずっと一緒に居たいと思ってたんだよ。」 あ、つい言っちゃったけど、珠子さん、判って返事してくれたのかしら。

 「んじゃ、今度はフトシが上ね。男の子かな? 女の子かな?」 どうやら、意味は通じたようです。とりあえず、今2人でやるべき事をしましょう。その先の事はちゃんと起きてからの話。


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