ハイエナ姫 共通1 悪徳弁護士の噂
小国フランポーネの第二王女メリッサは王族としては変わり者で、私立探偵をやりながらゆくゆくは弁護士となり不正を正すことを夢みている。
彼女をよく知る一部の知り合い、先進派であるの大半の庶民達から指示されているが、
主に保守派にある貴族層からは事件を嗅ぎまわるハイエナ姫と陰で嘲笑され、城で王に次ぐ権限を持つ宰相からは自粛を強要されていた。
そして今日も父であるフランポーネ国王エルルディス二世に呼び出され、お叱りを受けるのだった。
「メリッサよ」
私は感情の起伏が強いほうではないし、あまり緊張することもない。
自他ともにそう印象づいているが、さすがに玉座の間は緊張する。
「なんでしょう陛下」
父娘であれ王は陛下と呼ばねばならない。
幼い頃からよくわからなかったが、そういうものなのだ。
「誤解がないように言っておこう。弁護士を目指すのは悪いことではない。
しかし志望者でしかないお前が街で事件を嗅ぎまわることは……」
馬の耳に念仏とはよくいったもので、次こそはまともな事件で手柄を立てる。
バカにしてきた者達に泡を食わそうと反省はこれっぽっちもなかった。
「何か実力を示すに相応しい事件はないものか……」
ふと、思いついたのは、活動拠点を自国から隣国ロマネスに変えることだ。
ロマネスはヨーロピアス諸国の中でも大きな国とされている。
当然事件の数も多いため、以前から視野に入れていたことだ。
なるべく自国で活動したかったのもあり、避けたかったが手詰まりだ。
目標のためには大局を、ということだろう。