アーサー王、親子で無双します
お待たせしました。
盗賊たちを縛り、アルを呼びに行った。
「外に不穏な気配を感じたので確認したら、案の定盗賊らしき男たちがいました。」
その言葉に少し驚きながら、盗賊たちをどうしたのか聞くアル。
「盗賊たちは外で縛り付けております。」
「そうか。しかし、俺より強いアリサのことだから、戦士としては不安ではない。けど、親としては心配なんだ。マリアだってこのことを知れば、俺以上に心配するだろうな。」
「はい。気をつけます」
その言葉を聞くと、あるは満足そうに頷いた。
「それじゃあ、その男たちの元へ連れてってくれるかな?」
男たちの元へ行くと、リーダー格の男のみ意識が戻っていた。
「お前たち、俺の家に何の用だ?」
殺気を男に向け問うアル。
「っ!?」
「お前の依頼主は誰だ?」
「……話す分けがないだろう?」
冷や汗を流し、笑いながら言う男。
そんなアルはとんでもない事を言った。
「そうか、大商人ダルニアか…」
図星なのか、男は目を白黒させている。
「な、何故それを!?」
「俺を誰だと思っている。」
呆れながら言うと、アルは自分の剣を抜いた。
「自衛団に突き出してもいいが、お前は俺の家族を危険に晒したからな。俺の手で殺してやるよ」
男に怯えはなく、覚悟を決めた顔であった。
「潔い顔だ。では、さらばだ。フェリオリス流奥義弐ノ型エターナルプリズン」
その奥義の名前を聞き、驚愕の顔になった。
「やれやれ、表情豊かな事だ。」
声にならない苦しみを味わっている男を見て、満足そうに言うアル。
エターナルプリズンとは、フェリオリス王の奥義の一つで、徐々に内蔵を痛めつける技らしい。完璧に習得すると、一度の攻撃でもできるようになるらしい。
余談だが、アリサがアルに教えてもらった時、一度でマスターしてしまったため、アルが落ち込んでしまった。慰めるのに一苦労したアリサだった。
「お父様、何故主犯格がわかったのでしょうか?」
「あぁ、それはな、記憶を覗く魔法を使ったのだよ」
「記憶をですか?」
アルは頷いて、やり方を教えてくれた。
「まず、目を合わせて相手の脳に自分の魔力を送るんだ。そしたら、頭を探りその魔力を自分に戻す。それで出来るんだが、格下相手にしか使えないから気をつけろ?」
「何故ですか?」
「精神力、魔力、そして、実力全てで勝っていないと、跳ね返されてしまうんだよ。」
ふむふむと頷き、アルに使ってみた。
「お父様。浮気は程々に。」
「…っ?!あ、アリサ?なんでそれを?」
「お父様がやり方を教えてくれたではないですか?」
「子供に。しかも、女の子に全てで負けているのか……」
完璧に落ち込んでしまったアル。
「どちらかを選んだら許しますよ?ただし、お母様を泣かせたら、許しませんからね」
アリサは、本気で殺気を放った。
アルの比ではないほどの殺気に、当てられた本人は先ほどの男と同じような顔になっていた。
「わ、分かった分かった。ケリをつけるから!」
アルの怯える顔を見て満足したアリサ。
「それは良かったです。」
この瞬間から、アリサはアルより強くなった。経済的に。
「さて、一緒にお買い物に行きませんか?」
「ん?何を買って欲しいんだ?」
「大した物ではないです。ダルニアとか言う悪党の恐怖に染まる顔が欲しいのです」
その言葉を聞くと、アルは笑った。
「そいつは俺も欲しいと思ってたんだ。ついでにアリサの剣も買っておくか?」
「いえ、私はすでに自分の剣を持っております」
そう言うと、剣を具現化させた。
出した剣は、聖剣エクスカリバー。
前世で、アーサー王のシンボルとなった剣だ。
剣から滲み出る風格は、王者の者だった。
「お、おまっ……貴女様は、どちらでその剣を……?」
アルは、アリサと聖剣エクスカリバーから滲み出る王者の威圧に当てら、咄嗟に口調を変えてしまう。
これは、貴族のさがだろう。
平民のように、普段王族に会わない者だったならば、すぐさまその場にひれ伏してしまっていただろう。
「お父様、娘にそんな言葉使いはやめてください。それと、この剣は私の編み出した魔法の剣です。」
剣については前々から考えていた設定を話した。
剣をしまい、アルに問いかける。
「大丈夫ですか?先行きますよ?」
「ああ、大丈夫だ。行こう」
そう言って、親子で時速80kmのランニングを開始した。
着いた場所は、下手したら貴族の家並みの広さがあった。
勿論、門番もいた。
「さて、お父様。好きな方を選んでください。正面突破かコソコソみすぼらしく侵入か。」
「おいそれ、選択肢になってないだろ。」
「なら決まりですね?」
そう言うと、アリサが走り出した。
走ってくるアリサの姿を認めたアリサは、その門番の足をすくい転ばした。
頭を打った門番は戦闘不能になる。
しかし、門番の仕事を全うしたらしく、屋敷からぞろそろ人が出てきた。
「おい!お前何の用だ!」
1人がアリサに問う。
「私はアリサ。アリサ•ベネルートリアと申します」
ベネルートリアという言葉に、一同騒然とする。
ダルニアがちょっかい出したことを知っているのだろう。
しかし、名前だけで収まってくれる者はいなかった。
「伯爵の子供がこんな夜中に、1人で来るわけないだろ!!」
「第一、こっから伯爵の家までどのくらいの距離があると思っているのだ!」
「そうだそうだ!殺っちまえ!」
戦闘の意思を持った護衛たちがアリサを囲んだ。
「そうですか。なら選びなさい!大人しく気絶するか、抵抗して殺されるか!」
殺気に神気を乗せて威圧した。
怯む者はいても、実力を測れる者はいなかったみたいだ。
一斉にアリサに切りかかった。
アリサは、仕方なくエクスカリバーを出し、迫り来る護衛たちを切っていく。
一撃で沈めていくアリサ。しかし、幾分数が多いので、面倒だと感じ始めた。
「面倒だ。一気にカタをつけます。フェリオリス流奥義壱ノ型、エターナルフレア」
不意にアリサが消えた。
ほんの一瞬。瞬きしていないのに、姿を追えなかった。
護衛たちは混乱する。
しかし、そんな混乱もすぐに収まった。
何故なら、全員が燃えたからだ。
フェリオリス流の奥義エターナルフレアとは、全てを燃やし、燃やし尽くすまで火が消えない火を敵につける技なのだ。
魔法を一切使わず、空気と剣の摩擦だけで火を出し、敵を燃やす。
魔法でやればいいと思うのだが、魔法の場合、魔法で阻止されてしまう。しかし、自然現象は、魔法では魔法では抑えられないのだ。だから、奥義を作ったらしい。
全てが終わった後、アルがやってきた。
「ダルニアを連れてきたぞ?…ん、また派手にやったな?」
「殺さない方がよかったでしょうか?」
「いや、そいつらは護衛だったようだが、全員罪人だ。それ分かってて殺したのだろ?」
なんでもお見通しというわけではないが、スバリ言い当てられると、流石父親だな、と思うアリサだった。
「そういえば、そこのゴミはどうなさるのでしょうか?」
「うーん。後で話でも聞きてみようか。」
「わかりました。それでは一旦もどりますか」
ストックを作りたいため、少しお休みします。
3日4日ほど開けますのでご了承ください。