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 柳瀬は高円寺駅で下車すると、そこから徒歩で早野が暮らしているというアパートへと向かった。何色ものペンを使って早野が描いた地図を片手に、柳瀬は歩きながら小学生の頃、友達だと思っていた同級生にゲームソフトを盗られた時のことを思い出していた。

『お前が持ってんだろ?早く出せよ』

『俺じゃないよ』

『嘘つくなよ。わかってんだよ』

 柳瀬には確信があった訳ではないが、彼の友人が盗んだことは状況からして明らかだった。しかし、いつまでもいつまでも罪を認めようとしない友人に、柳瀬は諦念を抱き、友人を犯人扱いしている自分に嫌気がさした。

『わかったよ。もう一度探してみるよ』

 そう言うことによって、その時の柳瀬は話をなかったことにしたが、今の彼だったらそのような陳腐なことはしないだろう。今なら肉体的、精神的苦痛を与えて力ずくで取り返すに違いない。

 暴力と隣合わせに生きてきた柳瀬は、いつしか暴力にとり憑かれていた。

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