人参保護大作戦!その2
次の日の朝。
予想通りに自分も行く、と言うカトラルを家に置き、双子とルリ姉さんは野菜屋へ行った。
ルビアが来なかった時は、やはり一度も盗まれなかったそうだ。
「で、店を見てなきゃいけないのは分かるわ」
と、メルが腕を組ながら言った。隣でアルもコクコクと頷く。双子を見ながら、ルリ姉さんはニコニコと笑っていた。
「似合うわよ、二人とも」
「そうじゃないわよ!!」
そう言って、腕を振り下ろしたメル。嫌そうな顔のアル。この双子の服装は…。
…エプロン姿である。
「何よこれ!ありえないっ」
激怒している双子をなだめるように、ルリ姉さんは笑いながら言った。
「お店を手伝いながら、犯人を捜すのよ。こっちの方が不自然じゃないから」
そう言うと、双子は黙り込む。それは正しいが、なぜ自分達なのかといった表情だ。ルリ姉さんは、双子にやる気を出すために、もう一言付け足しておいた。
「終わったら、カトラルに見せてあげなさいよ。きっと喜ぶから」
「「本当!?」」
やはり食い付いた。
ルリ姉さんは、心の中でこっそりと笑った。
+ +
朝の九時ごろから、双子はせっせと慟いた。ルビアが来るのは午後の五時ごろだ。
「もうすぐ、ね」
メルがチラリと時計を見て呟いた。ルリ姉さんはさっきから、奥の方でただ見ているだけである。
『ルリ姉、さぼり』
メモ帳にそう書いたアル。確かに、と頷くメル。そんな双子を、奥で見ているルリ姉さん。客は上々。人参はまだ無事。ルビアはまだ来ない。犯人もまだ、来ない。
どことなく空気がピリピリしてきた。その時。
「今晩は。あら、可愛らしい姿ですね。お手伝いですか?」
来た。
「ルビアさん。いらっしゃい」
そう言いながらルリ姉さんが、立ち上がった。今まで何も動こうとしなかった彼女が。
「ルリさんも。お似合いですよ?」
ルビアはニコニコしながら言う。ありがとう、とルリ姉さんが返した。店の主人も出てきて、ぺこりと頭をさげる。どこか警戒した空気が漂っていた。
双子は店にいる他の客を相手にしながら、人参を何度も見つめていた。その時だ。
「「!!」」
人参が一本。風のように消えた。