ストーカー撃墜大作戦! その2
「「お帰り!」」
双子の嬉しそうな声が響いた。カトラルは柔らかな笑みを浮かべて、双子の頭を撫でる。双子はピッタリとカトラルにくっ付いて、ニコニコと笑っていた。
「ほら、ちょっと離れて。お客さん来たから」
そう言ってポンッと背中を押す。お客さん!?とメルが叫んだ。慌てて出入囗を見ると、確かに。一人の清楚な女性が立っている。少し困った顔で、しかし優しく微笑んでいた。
「いらっしゃい!あ、ココ座って下さい。アル、紅茶用意しよー!」
ドタバタと二人で走っていく。それをカトラルは黙ったまま見ていた。どうしようか、と迷っている女性に向かって、どうぞ。と椅子を勧める。女性は、やっと安心した様子で椅子に座った。
「元気なお子様ですね。可愛らしくて」
「いえいえ、五月蝿くて。あ、どうぞリラックスして下さい」
困ったように笑う顔には、しかし愛おしさが隠れている。いかにも好青年と言った顔だった。女性もクスクスと笑い、和やかな雰囲気になる。そこに双子が紅茶を持ってやってきた。
少し不器用で不安定だが、一滴もこぼさないで持ってくる。アルの方は、ちょっとしたお茶菓子だった。
「どうぞ。カトラ兄さんも」
「ありがとう御座います」
「うん。ありがとう」
お茶を置いてから、アルとメルもカトラルの隣に座った。少し、女性が驚いた顔をする。
「この子達は…?」
「大丈夫ですよ。実際動くのは彼らです。今までもずっとそうしてきました」
何を尋ねたいのか分かったのか、カトラルが諭すように答えた。女性は心配そうな顔だったが、これ以上は何も言わなかった。その代りに、顔を厳しくさせる。
「今回依頼をお願いさせていただきます、ルビア・ガールトンと申します」
そう言って、深々と頭を下げる。カトラルもそれに対して、浅く頭を下げた。双子はルビアにつられて、慌てて頭を下げる。その様子が微笑ましかったのか、ルビアはクスリと笑った。
しかし、すぐに真剣な顔立ちに戻る。
「最近、人の気配を感じるんです。街で買い物をした後は特に…。私、何も心あたりが無いので、気持ち悪くて…」
ストーカー、と言った所だろう。確かに、ルビアさんは美しい。しかし、ストーカーは何かしないかぎり捕まえられない。彼女の言うには、ひとまず誰が追っているのか、どうして追っているのかを知いたい、と言う事だった。
「ストーカー!?最低じゃない!同じ女性として放っておけないわ」
と、メルが顔を真っ赤にさせて怒る。アルも、その隣で黙ったまま頷いた。ルビアは申し訳なさそうに頭を下げる。しかし、カトラルがそれを制した。彼は、温和な笑顔を浮かべている。
「二人もそう言ってますし、ね?此方は仕事ですから。早速明日から、捜索してみます。いつも通りに生活して下さい」
「あ、あの…。ですが、本当に…」
そう言って、ルビアは双子をチラリと見た。その顔には、子供が役に立つのか?と書いてある。双子は、この仕事を協力するようになってから、幾度もそんな顔を見てきた。
人によっては、面と向かって言ってくる者さえもいる。
カトラルは、彼女を玄関まで送りながら答えた。自信たっぷりに、ハッキリと宣言する。
「失敗した場合、此方は資金を一切いただきません。万一被害にお会いした時は、全額負担させていただきます」
この子達を、信じてやって下さい。
それは双子にも聞こえた。カトラルは、それだけ双子を信頼しているのだ。ゆえの宣言である。そしてその宣言は、双子にも大きなプレッシャーとなる。必ず成功させる、という意志を持たせる。
「いよいよ、ね」
とメルがつぶやいた。隣で座っていたアルは、静かに小さく頷いた。
前置きが長いですね。う~む。