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第二十五話

「私のお父様とお母様も病気になったの…みんな次々と病で倒れていくわ。お医者様も病気になって、診て貰える人さえいなくなった。亡くなる方が多すぎて、葬儀も出来ないと聞いたわ…」

 リリィは目を潤ませエリーを見つめる。

「私もいつ病気になるか…」

「リリィ…」

 今にもくずおれそうなリリィの体を、ジョージはそっと抱き寄せた。

「エリー、今となっては、もう魔法の力に頼るしかないような気がする。勝手な願いだとは承知しているけれど、ダリル以外この国を救ってくれる人はいないと思うんだ」

「ジョージを魔法で治療したように、あの方ならきっとみんなの病気を治してくださるわ。だから、あの方を解放してくださるよう、リシリー様にお願いしようと思うの」

「…そうね」

 黙って話をきいていたエリーは静かに頷いた。昨日はきっぱりと拒絶された願いだが、国王まで倒れた今、リシリーは考え直してくれるかもしれない。それとも、国王の存在がなくなりこの国を支配することが、リシリーの真の願いなのだろうか?そう思いたくはないが、エリーの心は不安で揺れる。

「エリー、大丈夫?なんだか顔色が良くないわ…」

 いつもの元気がないエリーをリリィは心配する。

「大丈夫よ、ちょっと寝不足なだけだから…リシリー様に会いにお城に行きましょう。きっと分かってくださるわ」

 不安な気持ちを追い払うように、エリーは微笑んだ。

 

 国王が病に倒れたためか、城は悲しみに沈んでいるように活気がなかった。そのせいばかりではなく、病気になった家臣達も多く実際城の人々の数は大分減っていた。

 昨日エリーが案内された部屋に、今日はジョージとリリィと一緒に通された。間もなくして、足早にリシリーが入って来た。その姿を見て、ジョージは軽くお辞儀をする。

「国王がご病気になられたことは知っておるだろう?あまり時間はとれないよ」

 リシリーはエリーと視線を交わす。

「昨日のお嬢さんもおいでになったのかね?…話をすることはもう何もないと思うが…」

「…いいえ、もう一度お願いに参りました。何度だって来ます。国王が病気になられた今、魔法を使わなければこの国は滅んでしまいます!」

 エリーはリシリーの冷たい視線を感じながらも、必死に懇願した。

「…ジョージ、君もこのお嬢さんと同じ意見なのかね?」

「…はい…」

 ジョージは躊躇しながら、口を開いた。

「法を犯すことは分かっています。私はどんな罰を受ける覚悟も出来ています。…魔法で皆の命を救うことが出来るのなら、この国を救えるのなら、自分の命がどうなろうと構いません」

「ほぉ…愛する者を一人残しても構わないという覚悟が出来ているのだね」

 リシリーは、ジョージに寄り添うように立っているリリィに目を向けた。リリィは怯えた目をして体を震わせていた。

「それは…」

「…ジョージが死ぬなら私も死にます。私とジョージの命でこの国が救えるのなら、構いませんわ」

 震えながらも真っ直ぐにリシリーを見つめて、リリィは答えた。

「愛の力というのは、強いものだな」

 リシリーは冷たく笑う。

「だが、きれい事を言うだけでは、何も解決しない。あなた方の命を奪ったところで何になる?もう何人もの命が病で奪われている。国を救うことなど出来はしないよ」

「そんな事ないわ。あなたは諦めてしまうの?」

 黙って聞いていたエリーは、リシリーに詰め寄る。

「あなたが魔法を使わないのなら、私が魔法を使います!」

読んで下さってありがとうございます〜敬語の使い方が難しいです…(^^;)間違ってるかもしれません。^^;^^;

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