08.火消しと炎上
「報道は見送ります。」
大手テレビ局の報道部デスクは、申し訳なさそうに頭を下げた。
「財務省から“圧力”がありましてね。
裏取りが不十分だと、名誉毀損で訴えると…」
みなみは、静かにうなずいた。
「報道すれば、監査に入るともいわれましたか。」
みなみの言葉に報道部デスクの面々は苦い顔で何もいわなかった。
「想定の範囲内ですね。
でも、これで“マスコミが動かない理由”も、はっきりしました。」
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その夜、オタク仲間のチャットが再び活気づいた。
【ユウキ】
> よし、じゃあ俺たちでやるしかないな。
【ナナ】
> 市民説明会、やりましょう。リアルとオンライン同時開催で。
【リョウ】
> 動画編集は任せて。証拠音声に字幕つけて、SNS用に短くまとめる。
【あや子】
> 私も、話すわ。アリサと夫のこと、私国民がどれだけ税金を盗られているか。
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数日後、都内の小さな会議室で開かれた説明会。
会場は小さかったが50人以上が集まり、ほぼ全員が立っている。
オンライン配信には1万人以上がアクセスし視聴してくれた。
「私は、ただのオタク主婦です。
でも、自分の生活と子供の未来を守りたくて、ここに立っています。」
「税金は、誰のためにとっているのか。
それを問い続けることが、私たちの義務であり権利だと思うんです。」
拍手が起きた。
SNSでは「#霞の塔を照らせ」「#生活者の声を聞け」がトレンド入り。
動画は瞬く間に拡散され、数十万回の再生を突破した。
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財務省は、再び“火消し”に動いた。
「事実無根」「誤解を招く表現」
だが、その言葉を真面目にきくものはいなかった。
「火を消そうとして、油を注いでるだけだよな。」
ユウキがつぶやいた。
「この炎は、もう止まらないぜ。」




