06.推しと国家と裏切りと
みなみとの出会いから数日。
あや子は、アリサの行動パターンや交友関係を調べるため、SNSや公開情報を洗い始めていた。
だが、限界があった。
はあー。
仕事をしながら、調べるのはもう限界。
(もっと、情報がほしい。誰か、協力してくれる人…)
そのとき、ふと思い出したのは、**オタク仲間のグループチャット**だった。
学生時代からのアニメ仲間で、今も週末にはオンラインで語り合っている。
よし。
今日は日曜だし、いつものチャットでみんなに頼もう。
あや子は他力本願モードになった。
【あや子@異世界アニメ大好きっ子】
> ねえ、ちょっと相談したいことがあるんだけど…
> ある女のSNSと交友関係を調べたいの。
> できれば、過去の投稿とか、タグの追跡とかも。
【ユウキ@アニメの考察厨】
> おっ、リアル調査案件?
> いいね、推しの聖地巡礼で鍛えた検索力、見せてやるぜ!
【あや子@異世界アニメ大好きっ子】
> ありがとう…実は、夫が浮気してて。
> 相手が、どうも補助金絡みで怪しいの。
> 弁護士さんと一緒に調べてるの。
【ナナ@アニメのコスプレ職人】
> え、なにそれ。浮気調査?
> やるやる!その女、絶対許さない!
【ユウキ@アニメの考察厨】
> え、国家案件!?
> それ、もう“リアル社会派アニメ”じゃん!
数日後、チャットには驚くべき情報が集まっていた。
オタク仲間たちが集めた情報は、驚くほど詳細だった。
【ナナ】
> この写真、場所特定できた。銀座の高級料亭。
・アリサが複数の男性と同時に交際していた証拠
・複数の男性との写真、タグ付けされたイベント履歴
・アリサの過去のSNS投稿(削除済み含む)
・補助金関連団体のイベントに頻繁に出入りしていた記録
・留学生支援団体の関係者との繋がり
・レアメタル拡大事業の黒幕との繋がり
【リョウ】
> 補助金名義で予約されてた記録、見つけた。
・財務省の若手官僚と一緒に写った写真(背景に料亭の看板)
【ユウキ】
> これ、完全にアウトじゃん…
・財務省若手官僚との飲み会の目撃情報(オタ仲間の一人が同じバーの常連だった)
などなど
【あや子@異世界アニメ大好きっ子】
>「すごい…ここまで調べてくれるなんて」
あや子は思わず秘蔵の背景画をみんなに送っていた。
【ナナ@アニメのコスプレ職人】
>「すごー。どこで手に入れたのよ。」
ナナ以外の全員からもハートマークと数字の8が連発され、とても喜んでくれた。
【ハチ@漫画のコスプレ職人】
>「あや子さん、私たち、推しの行動追うの得意だから!」
【ハジメ@フィギュア職人】
>「それに、現実の悪役って、アニメよりタチ悪いからな。」
【サンタ@同人誌仲間】
>「この国の“闇落ち”を止めるには、私たちが動くしかないっしょ!」
あや子のパソコン画面がオタク仲間の声で埋まった。
あや子は、思わず笑ってしまった。
これで足がかりが出来るはずだ。
肩の力が抜けて久しぶりに、心が少しだけ軽くなった気がした。
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その夜、みなみに報告すると、彼女は目を丸くした。
「あなた…ただの主婦じゃないわね。ここまでやってくれるなんて、素晴らしいわ。」
「これだけの証拠があれば、マスコミを動かせるかもしれない。
でも、相手は国家機関。
私たちの動きも、すぐに察知されるでしょうね。」
少し思案顔のみなみにあや子は迫るように叫んだ。
「私はただのオタク主婦ですけど、推しのためには徹夜できる根性はあります。」
「よくわからない掛声だけど、一緒に“この国の闇”を切り裂きましょう。」
「はい。推しは正義、そして生活するお金を守るのも正義ですから。」




