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13.壇上の矢

国会議事堂の本会議場。

 重厚な空気の中、壇上に立つ袴姿のみなみが映った。

(この演出はコスプレーヤーの意見だ。画像になるんだからみなみさんの顔立ちから絶対袴だよ。)


 彼女が何を思う浮かべていたのかほかのオタクたちには察しがついたが全員黙っていた。

 確かにあの戦う某アニメとイメージが重なる・・・。

 いや、みなみさんの顔を見ているとそのままコスプレのような・・・。

 誰かが口にしそうになって、笑顔の圧に負けて口ごもった。


 本気モードになっているオタクに逆らってはいけない。

 これは、オタク仲間の暗黙のルールである。



 「次に、朝倉みなみ議員。」

 議長の声が響くと、場内が静まり返る。


 みなみは、ゆっくりとマイクの前に立った。

 袴姿が素晴らしく決まっていた。

 某アニメの主人公がそこに立っているようだ 。

 あとで流された編集動画でもみなみさんがそこに立った画面がものすごく再生が伸びていた。

 

 恐るべしマニアとオタク魂。


 「私は、庶民の代表として、ここに立っています。」

 みなみさんが静かに語り出していた。

 

 「これまで、制度の外にいた人々の声が、どれだけ無視されてきたか。

  私は、それを身をもって知っています。」


 「補助金制度の名のもとに、誰が得をし、誰が取り残されてきたのか。

  その実態を、私はこの場で明らかにします」



 議場の空気が張り詰める中、みなみは証拠資料を掲げた。

 「こちらは、補助金名義で予約された料亭の記録。

  同席していたのは、財務省の大河内はじめ事務次官。

  そして、アリサ・チャン氏。

  この場にいる皆さんの中にも、彼女と接点のある方がいるはずですね。」

 にっこり微笑んだみなみの笑顔になせが固まる議員たち。


 ざわめきが広がる。

 大河内次官が、ゆっくりと立ち上がった。


 「そのような個人攻撃は——」

 「個人ではありません。制度の問題ですよ。」

 みなみは、大河内次官の声を遮った。

 「なぜ、市民の声は“感情的”と切り捨てられ、

  利権者の声だけが“合理的”とされるのですか。おかしいとは思いませんか。」



 「私はあなたたちに問います。

  この国の財政は、誰のためにあると思っているんですか。

  霞の塔の中で決められた数字が、どれだけ多くの日本人の未来を左右しているのか、

  あなたたちは本当に理解しているのですか?」


 沈黙。


 だが、その沈黙の中に、確かなざわめきがあった。



 議場の映像画面を見ていた、あや子はみなみの発言に熱い視線を送っていた。

 「やったね、みなみさん…」

 「画面の前にいる私たちにはちゃんと、届いているよ。」


 オタク仲間が画面の前でつぶやいていた。

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