12.選ばれる者
「実は…僕、国会議員なんです。」
ユウキがぽつりと打ち明けたとき、全員が固まった。
「えっ?」
「マジで!?」
「オタクじゃなかったの!?」
「オタクで議員です。
選挙ポスターも“僕はオタクで、推しは市民”って書いてますから。」
ユウキは、真剣な表情で続けた。
「今、世論が動いてるんです。
この流れを、制度の中に持ち込むべきです。」
「みなみさん、出馬しませんか?」
みなみは驚いた顔をした。
「私が…政治家に?」
「あなたなら、できます。
法を知っていて、現場を見ていて、
そして何より、ここまで書かれた “物語”をあなたなら実現できるって、信じられますから!」
パシャパシャ
パシャパシャ
数日後、記者会見が開かれた。
「私は、生活者の声を制度に届けるために立候補します」
「この国の財政は、誰のためにあるのか。
それを問い直す選挙にしたい。」
SNSでは「#推しはみなみ」「#生活者の代表」がトレンド入り。
オタク仲間は国からの妨害で宣伝カーや選挙ポスターの作成が印刷所から拒否をうけたことを知り、オタクたちが手分けしてみなみの選挙ポスターのデザイン、街頭演説の動画編集、SNS戦略を一手に引き受けた。
選挙当日。
開票速報が流れるたびに、事務所の空気が高まっていく。
「当選確実、出ました!」
「やったああああああ!!」
「推しが…国会に行った…!」
みなみは、マイクの前に立ち、深く一礼した。
「これは、私一人の勝利ではありません。
声を上げたすべての人とオタクの、勝利です。」
このみなみの演説はSNSを通じて届けられ、たくさんのアクセス数があった。
あや子は、拍手を送りながら、そっとつぶやいた。
「これからかな。でも、やっと少しだけ、私たちの“思い”が届いたかな。」




