10.声は届くか
「報道特集で取り上げたいという連絡が来ました。」
みなみがそう告げたとき、チームの空気が一瞬止まった。
「マジで!?」
「ついにマスコミが…!」
「これで一気に広がる!」
だが、喜びは長く続かなかった。
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放送当日。
テレビに映し出されたのは、どこか歯切れの悪いナレーションと、
ぼかしの入った資料、匿名の証言、そして「一部、誤解もあるようです。」という締めくくり。
「……これじゃ、何も伝わらない。」
あや子は、唇をかみしめた。
「“問題があるかもしれない”って、誰でも言える。
でも、私たちは“問題がある”って、証拠を出してきたのに、、、。」
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その夜、みなみのもとに一本の電話が入った。
「私はフリーのジャーナリストです。
あなたたちの活動をずっと追っていました。
もしよければ、私に取材させてくれませんか?」
「もちろん。
でも、私たちだけじゃなく、みんなの声も聞いてください。」
「ええ。制度の外にいる先祖代々日本に住んでいる日本人の声を、届けたいんです。」
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一方、オタク仲間たちは次の一手を打っていた。
【ユウキ】
> マスコミがダメなら、こっちで特設サイト作ろう。
【ナナ】
> 証拠資料、時系列でまとめたビジュアル作るね。
【リョウ】
> 動画も再編集して、もっと感情に訴える構成にするわ。
【あや子】
> 私、主婦として、国民がどれだけ税金をはらっているか、あかららに書きわ。
> 現実味たっぷりに全部ね。
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数日後、公開された特設サイト「霞の塔の真実」は、SNSで爆発的に拡散された。
「これが本当の報道だ。」
「涙が止まらない。」
「自分のことのように感じた。」
コメント欄には、全国からの共感と怒りの声があふれた。
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みなみは、静かに言った。
「声は、届き始めています。
でも、まだ“国”は動いていない。
次は——もっと大きな一手が必要ね。」




