7話 切り抜きOK? OK!(ズドン)
毎週月曜日の朝に更新してます。
上空でふわふわと漂っている真っ白な雲は、実は雲形のモンスターだった──。
いかに現実世界の常識が通用しないダンジョンとはいえ、あまりにもそのスケールのデカさにインゴットは恐怖を覚えた。
……まぁ、☆4や☆5の高難易度ダンジョンではファンタジー作品でもおなじみのドラゴンが普通に出現するので、今更ではあるのだが。
2階建てのアパートくらいのサイズで空を飛び火球を吐いてくるドラゴンがいるのだから、ダンジョンはなんでもアリなのだ。
「いやー……まさか雲がエビとは」
「エビフライだから、空飛んでたりしてw」
アチャチャ:草
ラン:なるほどwww
あり得なくもない推測だ。
ダンジョンというのは、どこか茶目っ気がある。
ダンジョン内の法則がロールプレイングゲームに似ていたり、スキルや魔法が存在していたり、瀕死時に緊急帰還が発動したり……とにかく、ダンジョンにはシビアさが無い。
まるで、神が遊び場を提供しているような……。
と、インゴットがダンジョンについて考えを巡らせていると、ツンデレツインテからコメントが飛んでくる。
ツンデレツインテ:唐突だけど、さっきの場面の切り抜き動画を作ってもいいかしら?
切り抜き動画。
それは一般的に、ライブ配信から面白い場面だけを切りとって数分〜数十分程度の短い動画に編集したものである。
ライブ配信は数時間と長丁場になるのに対し、切り抜き動画はサクッと見所だけ見れるので、拡散力が高い。
基本的には配信者にとって損は無いので、インゴットも快諾した。
「お、是非とも。こちらからお願いしたいくらいです。剣豪さんも切り抜き動画作成は大丈夫ですか?」
切り抜きは悪意のある者が行った場合、誤解されるような編集をされることもある。
切り抜きを望まない者もいるので、念の為、剣豪に確認を取った。
「もちもち。おっけおっけー。映える感じでよろー」
剣豪は指で丸を作り、承諾した。
ツンデレツインテ:ありがと!
ツンデレツインテ:できればエビフライ食べてる画も欲しいわ
インゴットもそれに頷く。
確かに、実際にドロップ品を見せた方がウケが良さそうだ。
「剣豪さん。折角なので、エビフライはここで食べましょう」
「おけまる〜」
「さて……。テーブルとイスは任せてください」
インゴットは辺りを見渡し、開けた場所に生えているヤシの木に近付いた。
現実世界から持ち込んだ鉄鉱石をインベントリから取り出し、まずはハンマーを作製する。
「《鍛冶師》!」
鉄のハンマーができた。
そのまま、インゴットはヤシの木に向かってハンマーを振りかぶり、スキルを発動する。
「《鍛冶師》!」
ボウン! と煙が出たと同時に、ヤシの木は一瞬にして木製のテーブル1つと木製のイス2つに変化していた。
剣豪はおおー、と拍手する。
「お〜、すごい。トトっちのスキルめっちゃ便利ー」
治癒ネズミ:羨ましい
ラン:ダンジョン内で休憩スペース作れるの強いな
アチャチャ:確かに
「はは……照れますね。なんだかんだで応用が効いて便利なスキルです」
自分のスキルが評価されたことに、照れつつも機嫌が良くなっているインゴットであった。
(筆が乗った時は不定期に更新することもあります)




