6話 エビフライの謎
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剣豪は空中に指を走らせ、上から下にスワイプしてメニュー画面を操作する。
上機嫌に口笛を吹きながら、インベントリを確認した。
「おー。トトっち、料理ドロップしたよん」
モンスターからドロップした素材アイテムはその場に落ちるが、料理がドロップした場合はインベントリに直接入る。
苦労して獲得した料理が砂浜にドボン! と落ちたら悲しいので、こういった仕様はありがたい。
「お、それは良かった。何がドロップしました?」
剣豪がスカイフィッシュごと雲を斬ったことや、その斬った際の技名などはとりあえず一旦置いておくことにした。
「にゃふふ。なんかねー、2個ドロップした。手羽先とエビフライ」
「手羽先とエビフライ?」
モンスター1体につき、ドロップ品は1つのみだ。これは世の冒険者たちが検証済みなので間違いない。
それに加えて、元となったモンスターから連想できないドロップ品、というのも、これまた存在しない。
スカイフィッシュは翼の部分があるので手羽先は分かるが、エビの部分が無いので、エビフライが落ちるのは謎だ。
アチャチャ:なんでエビフライ?
ラン:てか手羽先も何?
困惑するコメントが来ていたので、手羽先についてはインゴットが補足する。
「ああ、スカイフィッシュは翼があるので、焼き魚の味がする手羽先がドロップするそうです。掲示板に載ってました」
ツンデレツインテ:見に来てあげたわよ!
ツンデレツインテ:今来たとこだけど
ツンデレツインテ:1体から2個ドロップするの
ツンデレツインテ:変よね?
「あ、ツンデレツインテさん。いらっしゃいませ。本日はゲストに剣豪さんを迎えてグルメダンジョンを攻略中です。……うーむ、そうですよね。1体1ドロップ、もしくは0ドロップしか無いはず」
倒したモンスターからアイテムがドロップするかどうかは確率、つまり運だ。
例えばスライムを100匹倒したとして、50匹はスライムゼラチン、30匹は水の結晶というレア鉱石、20匹は何もドロップしない、という結果になりやすい。
1匹1ドロップの法則はダンジョン内で絶対なので、料理が2つドロップしたのは何かしら別の要因があるのだろう。
ろむろむ。:雲
「あっ、ろむろむ。さん、コメントありがとうございます。雲……?」
ろむろむ。は普段ほとんどコメントをせず、見る専の視聴者だ。
インゴットはろむろむ。の短いコメントに首をかしげる。
治癒ネズミ:あっ、いやまさか
モフモフ狂:もふもふチャンスか
「んん……?」
ツンデレツインテ:あの雲、モンスターなんじゃない?
「……ひえっ」
そのコメントを読んだ瞬間、インゴットの背筋がヒュッと凍った。
何のことは無い。1度の斬撃で2体のモンスターを倒せば、2つの料理がドロップする。それだけだったのだ。
つまり、雲に擬態した巨大なエビが空中を飛んでいる。
ここがグルメダンジョンで良かった。
通常ダンジョンであれば、あの雲としか見えないエビと戦うことになっていただろうから。




