第19話 相談
毎週月曜日の朝に定期更新。
筆が乗ったら不定期に追加更新してます。
「改めまして、治癒ネズミです。いつもダンジョン配信楽しく見てます」
「インゴットです。こちらこそ、いつも来てくださってありがとうございます」
視聴者から面と向かって「楽しく観ている」と言われるのは、どうしても照れる。
インゴットは少しの気恥ずかしさを覚えながら、本題に入った。
「それで……相談というのは?」
治癒ネズミは少し目を泳がせたが、その迷いを振り払うように真剣な眼差しをインゴットに向ける。
「わたし、度胸を付けたいんです」
「度胸?」
「はい。わたし昔から気弱で、優柔不断で……、この前のコンビニでのトラブルも、わたしがもっと強かったら1人で対応できたはずなんです」
なるほど、とインゴットは思う。
この少しのやりとりだけでも、治癒ネズミの性格が見て取れた。
真面目で、気弱。そんな自分を変えたいと思っている。
「向上心があるのは良いことですね。私に協力できることなら協力しますよ」
「本当ですか! 相談して良かったぁ……」
突拍子もない相談をした以上、断られる可能性も考慮していたのだろう。
インゴットが快諾したことで、治癒ネズミはふにゃりと力が抜けた。
……といった所で、注文の品がテーブルに運ばれてくる。
「お待たせしました。どうぞ、ごゆっくり」
「ありがとうございます」
インゴットは手で会釈した。
カフェオレを少し飲む。
……美味い。
「いただきます」
治癒ネズミは胸の前で手を合わせてから、フォークで切り取ったケーキを口に入れた。
顔に笑みが浮かぶ。
「ん〜〜〜っ! すごく美味しい!」
「はは、良かったです」
馴染みの店の味が褒められているのは、インゴットにとっても嬉しかった。
「これで500円……!? も、もっと取れますよ!」
カウンターの方を見ると、木のトレイで顔を隠し、照れているマスターの姿があった。
シャイな奴め。
それから、少しして。
治癒ネズミがケーキを食べ終えた辺りで、2人は温かい飲み物を飲み、ほっと、一息つく。
本題を進める。
「度胸をつける、というのは何か具体的な方法やイメージはありますか?」
「それが……うーん、すみません。まだそんなに……」
「ふむ……」
だからこそ相談に来ている、とも言えるが。
しかし具体的にどうするかが無いと予定も立てられない。
「まぁ、焦らずゆっくり考えましょう」
「……はい!」
少しの間、穏やかな時間が流れる。
インゴットと治癒ネズミ以外に客はおらず、静かな空気が彼らを優しく包んでいた。
感想、レビューなど、とても励みになっております。
気軽にブックマークや評価をしていただけると嬉しいです。




