永遠ではない日常
朝、目をさます。カーテンから漏れる日差しが眩しい。私は覚醒していない頭のまま、半開きの目をこすりながらカーテンを開く。
今日の天気は雲ひとつない快晴。天気がいいと無性に心が躍る。
日差しをあび、徐々に頭が目覚めてくる。階段を降り、洗面台で顔を洗う。この時に私の体は完全に活動状態に入る。
「今日も1日がんばろ〜」
などと中学生には少し大人びた言動で、自らを鼓舞する。それから私は朝食の準備に取り掛かる。
今日のメニューは目玉焼きとウインナーとトーストしたパン。”今日は”とは言ったものの、ほとんど毎日同じメニュー。それでも毎日作っていることを褒めて欲しいくらいだ。
ご飯の準備ができたところで、1階から妹を呼ぶ。
「ナナ〜!ご飯出来たよ〜!」
妹は中々に朝が弱く、一回呼んだくらいじゃ反応しない。私はもう一度、今度はひとまわり声を大きくして呼ぶ。
「ナナ〜〜!!ご飯冷めちゃうよ〜〜!!」
ここでは白ごはんじゃなくてパンなのだが...そんなことはどうでもいい。
「ん〜〜〜〜...いま...おきる....」
ナナの8割型寝ているだろう小さな声が聞こえてくる。この声は間違いなく、布団に被り、目を閉じながら言っている。お姉ちゃんの勘がそう言っている。
結局、私は再び階段を登り、私の隣の部屋であるナナの部屋の扉の前に立つ。扉には小学生の時に作った「ナナ」と書かれた手作りの木の板がかかっている。ナナはあまり手先が器用な方じゃないので、ぱっと見「メメ」に見える。天崎メメ...第2の妹か...悪くない。きっとナナに似てどこか抜けてるんだろうな。
私は架空の妹の妄想に耽りながら、扉を開ける。そこには現実の妹が体の半分が布団から出たまま、すぅすぅと寝息を立てている。起きようとした形跡はあるが、実際起きれてないんじゃ意味がない。
「ナナ!!起きて!!」
私は勢いよく布団をガバッと捲る。急に寒くなったのか、ナナが居心地の悪そうな顔をする。少し心が痛みながらも手を掴み、上半身を起こす。
やっと目が覚めてきたのかナナは薄く目を開く。
「おはよ..リリお姉ちゃん...」
「ん。おはよ。」
私はわずかに口角をあげ、つぶやくように朝の挨拶をする。ナナの頭を撫でる。サラサラで心地いい。ずっと撫でていたい。そんな欲求をグッと抑え、ナナの手を引き、一階に降りる。
洗面所で顔を洗わせ、向かい合わせで食卓の席に着く。この時にはもうナナの頭も完全に起きたようだ。
「「いただきます!」」
私たちはご飯を食べ始める。作ってあった朝ごはんはもうぬるくなっていた。
「ん〜〜〜〜!やっぱりお姉ちゃんのご飯は美味しいね!」
「そ、そうかな...ありがと」
私は口元をがにやつかせながら、ボソボソと美味しそうに食べる妹に礼を言う。やっぱり面と向かって言われると恥ずかしい。
けどこの言葉があるから、私は今日も頑張って生きていける。
「「ごちそうさまでした!」」
ご飯を食べ終わった私たちは制服に着替え学校に行く支度をする。カバンに今日必要な教科書類を詰め込んで準備万端!早く準備が終わった私は妹の手伝いをする。
「国語の教科書ないーーー!どこーー!」
「昨日のうちに準備しといたらって言ったじゃん!んーと、ほら、あった。クッションの下に隠れてたよ。ちゃんと元の場所に片付けましょー」
「へーい。ありがと、お姉ちゃん」
少し不貞腐れたようにナナがつぶやく。こう言うところもかわいいなあ。妹は。
「よし!準備できたね?じゃあ学校にしゅっぱーつ!」
「しゅっぱーつ」
ナナも私に呼応するように大きな声で言う。
「それじゃあ行ってきます」
私が玄関扉に手をかけ、家に向かってつぶやく。
「いってきます!」
方やナナの声は元気いっぱいだ。
今日の天気は雲ひとつない快晴。どこか心が躍る。いつものナナとの学校への登校が心なしがいつも以上に楽しい気がする。
「今日は、体育でかけっこするんだ!ちょー楽しみ!」
「楽しそうだね〜。目指せ一位!」
今家には両親はいないけど、毎日が楽しい。こんな日常がずっと続けばいいのに。
一瞬、何かが光った気がした。それは球体のような。遠いどこかで大きな衝突音が聞こえた。
「なんかあったのかな〜?ナナ〜?」
ナナの方を向くと、息が上がって、どこか怯えている様子だった。
「大丈夫!?体調悪い?」
根拠はないけど、これから何か悪いことが起きるんじゃないかと私の動悸も早めていく。
お姉ちゃんの勘が私の心に警鐘を鳴らしている。




