入学式
朝、少し早く目が覚めるシエル
久しぶりの揺れないベッドが
船旅の疲れを取ってくれた
歯を磨き、髪を整え、柔軟体操、瞑想…
持ってきた荷物のトランクを開け
学校の制服に手を通す
紺色のブレザーでネクタイは1年生を表す若草色
鏡でチェックしていると
コンコンとドアをノックされる
ドアに向こうから
若い女性の声が聞こえる
「朝食付きのお客様、準備ができましたので下へお願いします…」
ドアを開けると誰も居なかった
1階へ降りる途中の階段には
朝食のいい匂いが漂っていた
1階では昨日のオバサンが笑顔で迎えてくれた
「おはようございます」
「はい、おはようございます、昨日はよく寝れましたか?こちらにお座りください」
テーブルにはサンドウィッチとスープが準備されていた
朝食を食べながら
宿のオバサンさんと話してる中
店の奥から学校のブレザーを着た
ドキッとするほど可愛らしい
猫獣人の女の子が出てきた
「お母さん…行ってきます…」
「あのブレザー…」
「そうなんですよ、ウチのコも今年からでモナカって名前なんです、学校で関わる事があったら仲良くしてやってね」
オバサンは笑いながらお辞儀していたが
途端に焦りだす
「ウチのコは割とゆっくりマイペース何ですが…
お客様、学校の時間大丈夫ですか?」
「あ、ヤバい!」
ゆったりとした宿で時間を忘れていた
すぐに部屋に戻り荷物を取る
学校では寮暮らしなので
大きめのトランクを持ちながら宿を出る
「ありがとうございます!ゆっくりできましたー」
走りながらオバサンに礼を言う
遠くに走って行くシエル
「お客様、あんな荷物を軽々と…ただ者じゃないニャ…おっと…じゃないな…」
キーンコーンカーンコーン
学校へはギリギリ間に合ったが
校門にいた先生に
「入学式に遅刻ギリギリとは…」
と呆れられていた
魔法学校
マジックキャッスル
その名の通り学校と言うよりはお城に近い
お城を上から見て十字に施設が立ち並び
4つの面には校庭、湖、森、
四角い石が散乱した実験場が広がっていた
入学式
新入生は200人ほど
真ん中の城の広い部屋で校長が挨拶する
校長は女性で見た目は三十代半ば
白い髪の毛に黒を基調としたドレスコード
目は大きく、吊り上がりクールな雰囲気
その姿は美しく15歳の男の子たちは釘付けになった
口調は厳しく学校の威厳を損なう者を許さない
「では、最後に…ここでの学びが貴方達に実り多い生活を送ることを心から願っています」
校長はお辞儀をして微笑む
その美しさで1人生徒が鼻血を出して倒れる…




