想いを貴方に
死神が残した大鎌が
死神が消えてもなお怨念で動き出し
近くのクリアを襲う
クリアを守るためシエルは盾となる
「ご主人様!」
シエルの指輪が光りカーバンクルのルビーが咄嗟に
魔法の盾を出すが突き抜け
大鎌がシエルに刺さり鎌が消える
「シエル!」
倒れ込むシエルにクリアが近づき
刺された腹を押さえる…
「誰か!回復魔法を!」
「ホーリーヒール!」
「キュアウォータ!」
出遅れたザック、オリエンが魔法をかける
「セラピスエール!」
ルビーも魔法をかけ
3人がかりでシエルを治そうとするが…
「これは…呪か…」
オリエンが苦い顔をする
シエルの体が回復魔法を受け付けない
腹の傷から血が流れる
〜〜
「(良かった…クリアが無事で…………そうか…
今になって…ようやく…わかった…
俺はクリアが好きだったんだ………)」
シエルの思考が速くなり
走馬灯の様に過去を思い出す
ーー
「ワタクシ!このクラスのトップを狙っていますの!
アナタは良いライバルになりそうですわ!」
ーー
「貴方と戦うのは久しぶりですわね…
貴方に負けた後から私…
努力しましたのよ!アイスフィールド!」
「ああ!君の試合を観ていた!
ホントに強くなっていた!
強くなった君をさらに超える!!
ーー
「貴方…暇そうですわね…」
振り向くと後ろには
金髪の縦ロールが映える青いドレスのクリアがいた
いつもと違う美しい格好に驚く
「何をいまさら赤くなっているの?ふふふ…」
「いや、すごい綺麗だと思って…」
「あら、お上手ですわね…シエルさん…貴方にお願いがあって来ましたの…」
ーー
「よし!ではさっきの話をまとめるぞ!
スパイスベアを『二人』に倒してもらう
スパイスベアはレベル34で強敵だ
クリアはレベル14、シエルはレベル19…」
ー
「貴方…私の事、忘れてるのかしら?」
少し怒った顔のクリアがシエルを睨みつける
熊の足元には氷が張られ
その氷で熊は前かがみに倒れる
「アイスニードル!」
鋭い氷の槍が地面から現れ
熊はそれを両手受け止める
「シエル!今ですわ!」
「ありがとう!クリア!迅雷刀…」
雷魔法を刀に纏わせる
「一閃 雷流閃斬」
居合の一撃を熊に叩き込む
ーーー
死神の強さにクリアは完全に心が折れていた
立ち上がる事すらできない
そのクリアの姿を見てシエルは
なぜだか
守りたいと強く思った
クリアの手を握り声をかける
「クリアーーー
〜〜
「クリア…」
シエルはクリアに手を伸ばす
「はい!ここにいますわ!」
呼ばれたクリアが横たわるシエルに近づく
「好きだ…
少し遅かったかも知れないけど…
この気持ちを伝えたくて…」
クリアは驚き、笑顔で言葉を返す
「私も…私も貴方が好きですわ…」
「良かった…………眠い…」
シエルの意識が飛び始める
「シエル!(嫌だ!嫌嫌…行かないで!)」
シエルの口から血が流れる
「これは…もう…」
ザックが様々な方法を考えるがどれも
上手く行く未来がみえない
「クソ!(もう少し速く反応できれば…)」
オリエンは地面を殴り手から血を流す
「シエ…ル」
急に起こった
シエルの件に大怪我をしているカレットは
為す術もなく…座っている
シエル、クリア、カレット、
オリエン、ザックの5人と2匹が
今いる場所はF17ダンジョン……地下16階
このダンジョン最後の階層17階から声が聞こえる
「懐かしい……匂い…『地球の民』の血の匂い…」
声の主が動き始める
炎を纏いし翼を広げ飛び立つ
火の鳥…
フェニックス…
鳳凰…
ファイアバード…
不死鳥…
朱雀…
様々な名を持つその生物は
何年も何千年、何万年、
死して復活を繰り返す
それは一つの世界だけではなく
復活する度に別の世界へ飛び立っていた
朱雀は加速し
地下17階を飛び出し
16階のクリア達の前に
朱雀が現れる
ザックとオリエンは咄嗟に身構えるが
朱雀の睨みに体が動かなくなる
「怪我…重傷だな……
女…聞きたいことがある」
「な、何ですの?」
「ソイツは『地球』の者か?」
「チキュウ?……わからないですわ…」
「そうか…ならば直接聞こう!」
朱雀は高く飛び上がり
羽を広げ円を描く
纏われた炎が太陽の様に輝き
熱を広げる
眩しさはあるものの
嫌な暑さは無く
むしろ優しく温かい春の日の光…
光は全てを飲み込む
5人と2匹は
ダンジョンの外へ出ていた
ダンジョン入り口の離れにある
オリエン、ザック、カレットが見覚えのある丘
「シエル!貴方…」
シエルの怪我は治っていた…がシエルは目を開かない
「大丈夫か…」
カレットがクリアとシエルに近づく
「先生…それ…」
「あぁ…どうやらの私の大怪我も
治してくれたらしい」
カレットも死神に切られた右足が治っていた
「それよりも、シエルは?」
「大丈夫ですわ…意識はありませんが…
呼吸も安定しています」
「そうか…学校へ連れて行こう…」
「あれ?ザックさんとオリエン先生は…」
「二人はここへ飛ばされた後、
元の場所へ帰っていったよ…
学校の保健室でシエルの受け入れを準備すると
オリエンが帰る前に言っていた」
「わかりましたわ…あの…炎の神鳥は…どこへ」
「さぁ…シエルに話を聞きたがっていたから
そのうち現れるだろうな…」
二人はシエルを連れ学校へ向う
ーーーーーーーーー
そうか…それで保健室に…」
意識を取り戻したシエルは
クリアに話を聞き終わる
「ん?んー?あ…(俺…クリアに…)」
「どうしましたの?シエル!」
笑顔でシエルに近づき体を引き寄せる
「近い!近いよクリア!」
キスの件もありシエルはまた赤くなる
「コラーーー!何してるにゃーーーー!
安静にしてるにゃー!」
シエルの見舞いに来たモナカが
二人に怒る
「あ!モナカ!久しぶり!」
「では、シエルの様子を先生に伝えてきますわ!」
クリアは立ち上がり
「シエル!では…また…」
熱い視線をシエルに向け保健室を後にする…
夏休みダンジョン編ーー完ーー




