6
「晴れている夜にはね、見上げる空が全部、小さな砂みたいな星で埋まってしまうの。本当に全部だよ。それくらい、きらきらしてる。なにもかもが。輝いているの。あすみにも見てもらいたかったけど、この天気だと、もしかしたら、見れないかもしれない。それがちょっとだけ残念だなって思うんだ。まあ、しかたないことだけどね」と(あすみもお手伝いをして)完成したテントの中に横になって、かれんは言った。(テントが完成したときは、本当に嬉しかった)
「星ですか?」(初めてみる不思議な器具で)コーヒを淹れながらあすみは言う。
降り出した雪は、テントが完成するころにはまたやんでいたけど、天気はよくはなっていなかった。風も強くて、ばさばさと風がテントを揺らす音が聞こえる。
かれんが(こっそりと)確認した天気予報では、晴れになると言うこと見ないだったのだけど、今のところ、空は晴れていない。
でも、これくらいの天気の変化はよくあることのようで、天気予報の通りに晴れになることも不思議じゃないとかれんは言った。
「もし、星が見られなかったとしたら、また星を見るために、今みたいに、かれんさんに会いにきてもいいですか?」とコーヒーを二人分用意して、かれんに渡して(ありがとうとかれんは言った)、少し(まるで歳の離れたお姉ちゃんに甘えるみたいにして)かれんに甘えるようにして、あすみは言った。
「もちろん。いいよ。それは別に構わないし、あすみに会えるのは、私もすごく嬉しい。でも、星はね。できれば、今、見てもらいたかったんだ。今のあすみに。『今、ここにいるあすみ』に見てもらいたかったんだよ。だから、もし見られなかったら残念なんだよね」と本当に残念そうな顔をして、つまらなそうな声で、かれんは言った。
「今の私に、ですか?」
「うん。今のあすみに見て欲しかった。今、この瞬間に、私の横にいる、ここにいて、楽しそうに笑っているあすみにね」とあすみを見て、ふふっと笑ってかれんは言った。
「……、今、ここにいる私に」とまっすぐな瞳で、かれんを見つめて、あすみは言った。
(それから二人は熱いコーヒーを飲んだ。コーヒーはとっても美味しかった。かれんさんもあすみのことを上手だって褒めてくれた)