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11 帰りの電車 私、全力で走ってみます。

 帰りの電車


 私、全力で走ってみます。


「本当にいろいろとお世話になりました。かれんさん」と帰りのやっぱりへんてこな形をしている古い駅の前でちょこんと頭を下げて、あすみは言った。

「未来はね、勇気のある人に微笑んでくれるんだよ。ちゃんと勇気をもって、一歩を踏み出すことができたあすみなら、未来を掴むことができるよ。がんばってね」とかれんはにっこりと笑っていった。

 そのかれんの笑顔に、きっと一生忘れることはない、あの出会ったころの、あすみのことを救ってくれた、かれんの笑顔が重なって見えたから、「はい。かれんさん。自分の夢に向かって。全力の全力で。頑張ってみます」とそう言ったあとで、思わず、あすみは泣いてしまった。

 かれんのあったかい胸に思いっきり抱きつきながら。

「かれんさん。……、また会いにきてもいいですか?」と涙声であすみは言った。

「うん。もちろん」とかれんはあすみの頭をよしよしとなでながら、優しい声でそう言った。

 あすみは遠いかれんのいる町までの旅の思い出として、かれんから一枚の小さな絵をプレゼントしてもらった。

 それは小さな笑っている星の絵だった。

 満天の星空を見た夜に、かれんが描いていた絵だった。

 その小さな笑っている星の絵は、その日から、あすみの大切なお守り(夢を叶えるための宝物)になった。

「ありがとう。かれんさん」と赤い目をしているあすみは言った。

「ばいばい。あすみ。また私の夢を見てね」とあすみのことをもう一度、最後にぎゅっと抱きしめながら、かれんは言った。

 そして、あすみは青色と白色の電車にのって、かれんの暮らしている遠い町から自分の暮らしている都会に向かって、帰っていった。

 かれんは電車が見えなくなるまで、あすみにずっと元気に手を振ってくれていた。


 花の咲いているところ


 あすみのみたかれんの夢


 夢の中では、かれんはあすみと同い年の十六歳だった。

 あすみの知らない十六歳のころのかれんがそこにはいた。

 二人は学校の制服を着ていた。

 あすみは学校にはいっていないし、かれんがどんな制服をきていたのかもしらなかったから、その制服はでたらめの制服だった。(普通のちょっと古風なセーラー服だった)

 あすみとかれんは教室にいる。

 そこは普通の教室ではなくて、どうやら美術室のようだった。

 かれんは(いつものように)キャンパスの前に座っている。

 そこで真剣な目をして、真っ白なキャンパスを見つめていた。

 そこで、色を探しているみたいだった。

 新しい色

 古い色。

 まだ、見たこともない色。

 そこにあるべき色を探している。

 ふと、かれんが自分を見ているあすみに気が付いてこっちを見た。

「ねえ、あすみはどの色が好き?」とかれんは言った。

 あすみは「青色です」と自分の一番好きな青色と言った。 

「青か。青もいいな。でも、赤色もすてがたいな。黄色もいいし、うーん。どうしようかな?」

 そんな風に悩んでから、かれんはなにかをつかみ取ったのか、筆を動かし始めると、一枚の絵をあすみの見ている前で描き上げた。

 それは、いろんな色の花の咲いた絵だった。(青色が一番目立っていた)

 かれんはあすみをみると、とっても満足そうな顔で「できた」と言って、にっこりと笑った。

「はい。あすみ。この絵。あすみにあげるよ。プレゼントする。あすみ。今日お誕生日だもんね。おめでとう」とかれんは言った。

 そのかれんの絵を受け取って、「……、ありがとう」と言って、その絵をぎゅっと抱きしめながら、あすみは嬉しそうな顔でぽろぽろと泣いた。


 いろんな色がきらきらと輝いているね。おめでとう。もう、泣かないでよ。私まで泣いちゃうでしょ?


 あすみのいるところ。 終わり

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