1 赤、青、黄色。ねえ、どの色が好き?
あすみのいるところ。
赤、青、黄色。ねえ、どの色が好き?
そこには見たこともない美しい一面の真っ白な雪景色が、ずっと、ずっと広がっていた。
そんな風景を見て、なんだか私の心はとってもわくわくした。
「本当にきたんだ。おどろいた」と初めて見る古いへんてこな形の駅の前で出会ったときにかれんは言った。
「はい。なんとか迷わずにここまでくることができました」とにっこりと笑ってあすみは言った。
目的地の遠い駅の近くまで電車がくると、真っ白な雪が大地の上にいっぱい積もっていて驚いた。もうこちらでは、雪が降っているのだと思った。雪を見たのは、いついらいだろう? よく覚えてはいないけど、なんだかずいぶんと久しぶりに本物の雪を見たような気がした。(そのせいなのか、雪を見ただけで、小さな子供みたいにわくわくしてしまった)
「まあ、せっかくきたんだから、楽しんでいきなよ。都会みたいに遊ぶところは、ないけどさ。まあ、自然は綺麗だし、それに、ちょうど、雪もたくさん降ったからね」とにっこりと笑ってかれんは言った。
「はい。よろしくお願いします!」と元気な声でお辞儀をしながら、あすみは言った。
あすみは白い毛糸の帽子をかぶっている。長い髪の毛はポニーテールにしていて、あったかい大きめの鮮やかな青色のダウンジャケットに、白のハープパンツ。白いタイツをはいて、足元は白いスニーカーだった。
荷物は背中に背負っている大きめの水色のリュックサック一つだけ。
かれんは鮮やかな黄色いダッフルコートを着ていた。白い膝上のスカートに黒のタイツをはいていて、足元は焦げ茶色のブーツだった。髪の毛はまっすぐにおろしている。綺麗な耳がちょこんと出ている。
近くにかれんの乗ってきた小さな赤いおもちゃみたいな車が止まっている。
二人の年齢は、十個、違っていたけど、背丈はそれほど、変わっていない。
あすみが十八歳で、かれんが二十八歳だった。
(身長はあすみのほうがちょっとだけ、高かった)