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4 まともな死に方ってどんな死に方?

 こういう世界だから若い連中は血の気が多くて、日々、喧嘩まみれ……っていうのは、俺のイメージだけだったみたいだ。

 実際に若い連中と話してみると、まあ個性は強めながらもどいつもこいつも良い部分はあったりするし、案外付き合いやすい場だったりする。

「っつーわけで、今日から俺たち若手のまとめ役になった久保田さんだからな!お前ら失礼の無いようにしろよ!」


「どもー、久保田昴流くぼた・すばるですー。タバコ、麻雀、アイス諸々好きなモノがあったり無かったりするんで、どうぞよろしく」


 若手の連中が集う支部に佐伯に案内されてやって来た。

 やっぱり世代が若いせいだろうか、うっかり変なことを口に出してしまえばすぐにでも喧嘩沙汰にでもなるんじゃ……ないかと思っていたのは、完全なる俺のイメージだったらしい。


「若っ!久保田さんって今幾つなんです?」


 佐伯に似た金髪の髪色をしているが、佐伯よりも少々髪が長く、ヘアゴムで髪を結い上げているライオンみたいな若者が、いの一番に手をあげて俺の年齢を聞いてきた。……あれ、そう言えば俺って今何歳だったっけ?


「え、歳?えーっと……俺、幾つだったっけ?」


 つい、隣の佐伯を見てしまうものの佐伯ともついさっき知り合ったばかり。そして一緒にアイスを食べたばかり。当然ながらお互いの歳とか誕生日なんて知らないはず。


「いや、俺も知らないんすけれど……」


 佐伯も呆れた顔をしつつ、首を傾げてしまった。まあ、当然の反応だよねぇ。


「つか、イケメンっすね!今度一緒に合コンでも行きましょうよ!」


 俺がイケメンがどうかは分からない。たぶん、そこそこに身長はあるはずで(この場においても一番背は高いのかな?)体型は……どうだろう、別に太ってはいないはず。でも、顔?顔ってどうなんだろうなあ……こればかりは個人の好みがあるだろうし……取り敢えず、この黒髪くんにはイケメン認定されちゃったみたいだねぇ。と、今度話し掛けてきたのは、黒髪くん。例えるならば狼っぽい若者。短髪で、顔のところどころに傷でも出来ていたのか絆創膏が貼り付けられているみたいだが喧嘩でもしたんだろうか。


「アホか!俺らみたいなヤツらが合コンでも行ったらビビられるだけだろうが!」


 そんな狼くんの合コン発言に、バシッと狼くんの後頭部を引っ叩きながら鋭いツッコミを入れていたのが、見た目は真面目そうな眼鏡くんだった。他のメンツとは違い(スーツなんてモノは佐伯とこの眼鏡くんぐらいが着用しているぐらいで他の若手連中はほぼ私服姿みたい)、きっちりとしたスーツを着込んでいる。まあ、スーツが普通のサラリーマン風のモノならば、この世界で過ごしている人間とは思えなかったかもしれないが、あいにく着込んでいるスーツはグレーがかったモノだったし、シャツも独特の柄が入っているモノだったから見る人が見れば、コッチ側の人間だと分かるかもしれない。

 それにしても……。


「……賑やか、だね」


「あー、だいたいいつもこんな感じっすよ。どうしても興味があるのは女のこととかいろいろ言ってますけれど……まあ、一応危ない道には踏み込んではいないんで……」


 さすがにざっと見たところ十代……のヤツは、いないっぽいかな。ギリ、なんとか二十代入りしているようなヤツが多い感じだ。見た目も様々。ちょい不良っぽい感じのヤツもいれば、きちんとスーツを着込んでいる真面目風の……ちょいガラの悪そうなサラリーマンとかにもいそうな感じのヤツもいるみたいだけれど、この世界に入って長いんだろうか?

 

 その気になれば、人生なんていくらでもやり直せる。……って言われているけれど、それが誰にでも当てはまるか?って聞かれればさすがに無理があると思う。だから、こういう世界に生きるヤツらがいるのであって、決して表社会に生きていけるだけの根性が無いだとか、やる気が無いとか、そういうことは関係無いんだろう。きっと彼らには、この世界で生きることの方が性に合っていて、居心地も良いのかもしれない。

 いろいろ言っている俺だって十代の頃には散々問題を起こしまくっていた方だから、唯一と言える身内のおじには何かと苦労を掛けてきてしまっているけれど……これから本格的に冬かー、お酒とかが絡むイベントも多くなるだろうし、きっとおじさんたちも忙しくなるのかもしれない。


「あ!久保田さんが来たんだし!祝賀会でもやろうぜ!」


 見知らぬ人間が来たらもっとギスギスするものかと思っていたけれど、どうやらここにいる連中は転校生が来たら真っ先に声を掛けていくタイプが集っているのかもしれない。もしくは、ただ単にイベントを起こして騒ぎたいだけなのか……。

 ポンッと手を叩いた狼っぽい若者がいきなり祝賀会だなんて言い出すものだから周りは呆気に取られてしまった。


「はぁ!?」


「俺らみたいなヤツらが店に押し掛けたら迷惑なんじゃね?」


 ここにいる頭数が若手って言われている全員になるのか分からないけれど、それでも軽く見渡しても十人ぐらいはいる。この人数で店に……?いろいろと問題視されそう、ね。


「いやいや、あれこれ買い込んで来てここでやれば良くね?」


 幸いと言うべきか、支部にはソファーはもちろんのことテーブルだってあるし、最低限の家電製品も揃っているからあれこれ買い込んで来てちょっとした飲み食いぐらいなら普通に出来そうだなあ。


「……って、言ってるけれど、そういうのって経費で落ちたりする?」


 祝賀会と称した歓迎会。

 それに掛かる金っていうのは、経費で落ちたりするんだろうか?とついつい佐伯を見てしまうが(だって先輩だろうし?分からないことがあれば聞いても良いみたいな雰囲気だったからねぇ)困ったように佐伯は首を傾げてばかりいた。


「いやぁ~、さすがにそれは難しいんじゃないっすかねぇ……?」


「せっかく久保田さんも来たんだし。良いじゃないっすか!ねぇ?」


 一応、言っておきたいのだけれど俺がこの場にいるっていう理由はコイツらは知っているんだろうか?元まとめ役だった人間がポカをしたせい。そして、その元まとめ役は、ついさっき俺が銃殺してきたばかりだ。元まとめ役を慕っていたヤツとかってこのなかにはいないんだろうか?


「……えーっと、名前知らないまま元まとめ役って人をヤってきちゃったんだけれど、俺が憎いとか思わないわけ?」


 まあ、ここで『憎い』だなんて口に出せるヤツがいるのなら見てみたいと思った。でも、それぞれの顔色を見る限りでは、俺が手を下した男の印象はあまり良く無かったらしくて、いつポカをしでかすか、それがいつ鳳来寺さんの耳に入るのか、と怪しまれていたらしい。


「え。全然!元々、アイツは何考えてるか分からないところもあったし、蓋を開けてみれば案の定他でもバカなことしていたんでしょ?」


「そそ、この世界に入ったからにはまともな死に方なんて出来っこ無いって思ってましたし」


 まともな死に方、か……。

 なら、まともな死に方ってどういう死に方になるんだろうねぇ?……老衰みたいに、眠るように死ぬことがまともな死に方にあたるんだろうか?


「……いつか問題起こすと思っていた人だったんで」


 それにしても、あっさりし過ぎというか……一応、人が一人死んでいるんだけれどねぇ。こういうのが普通、なのかな。


「ま、まあまあ!死んだヤツのことは置いておくとして!取り敢えず、何か出前でも取るか!」


 買いに行くよりも出前でぱぱっと注文してしまう方が楽だと思ったらしい。それに賛成!とあちこちから声が上がっていくから、本当にこの若手の連中のことを佐伯はよくよく分かっているんだろう。はたから見れば佐伯は、コイツらの兄貴分って言えるのかもしれない。あ、俺にとっては『先輩』だったんだっけ。

 普段から出前のお世話になることも多いらしく、あちこちのチラシを手に取っていくと電話を掛けながらあれこれといろいろな品を注文しはじめていく佐伯。若い連中らしく、寿司!とかピザ!とか肉!と好き勝手に言っているが、器用にも佐伯はいろいろなヤツの言葉を受け取って複数の店へ出前を取っていった。

 たまたま俺の目にもチラシが入ってきたものだから何か美味しそうなモノあるかな……と目を通していくと、すかさず佐伯にオーダーを出していった。


「……あ。ついでに、こっちのケーキもお願い出来る?ホールで」


「「「ホール!?」」」

 若い連中の名前……どうしようか……。だいたいいつも悩むのは、登場人物たちの名前です。内容とかストーリーとかはあれこれ妄想で膨らませることは出来るのに、あれこれ浮かんでくるのに、なかなか進まないのが『名前』。最低でもライオンくん、狼くん、眼鏡くん、辺りの名前は決めておかないとね!(汗)


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