ランダムマジック《いい加減な魔法》
俺の名前はクナース、16歳だ。そして横にいる彼女は幼馴染のアーティ。そして目の前に転がってる死体が俺達の村を滅ぼした盗賊団の頭だ。
終わってみれば呆気ないものだったな。
「いやいや、別に僕達こいつに村滅ぼされてないでしょ。何思ってんだよ」
こいつ...俺の思考をっ!!
「何で驚いてんだよ!」
「死体の前でこんな茶番はやめないか?不謹慎だろ」
「お前が始めたんだろうが」
と、「テレパシー」のスキルを持つアーティとの茶番を切り上げ、大きめの皮袋に死体の首を入れる。
この首を冒険者ギルドに渡せば依頼達成となって、俺の目標である史上3人目のSS級冒険者に近付くわけだ。
「早くギルドにこれ届けに行こうぜ」
「うん。でも何でさっきから君の脳内は説明口調なの?」
「...フッ」
「格好つけて誤魔化そうとすんな」
***
「賞金の10万ゴールドと依頼報酬の5万ゴールド。合わせて15万ゴールドです」
「...俺には人の命が15万だなんてそんな殺生な認めることはできない。25...いや30万でどうだ!!」
「何交渉しようとしてんだよ!!職員さん困ってるじゃねーか!!」
「冗談だよ冗談。それより眠いから早く宿に戻ろうぜ」
「...こいつと居ると本当に疲れる」
そんなアーティの呟きを聞き流しながら俺は僅かに期待していた。
その理由を話すには、前提としてスキルと言うものを理解しなければならない。
人は生まれながらにスキルを1つ持っている。俺であれば剣術補正という剣術に補正がかかるスキル。アーティであれば、体術補正という体術に補正がかかるスキル。
そしてそれとは別に、人は15歳前後にもう1つスキルを手に入れる。そのスキルを手に入れるタイミングは睡眠時、つまり起きたらスキルが手に入っているというわけだ。
アーティが言うにはテレパシーを手に入れる前の睡魔には違和感があったらしい。そして俺も今違和感を感じている。
つまり俺も遂に2つ目のスキルを手に入れるかもしれないというわけだ!!
「普通に眠いだけだったら面白いね」
「何で......何でそんな酷い事が言えるんだよ!!!」
「はぁ......」
***
「で、スキルは手に入れたの?」
宿の食堂でアーティに問われる。
「わざわざ言わなくても分かるだろ。手に入れたよ。(ドヤ顔)」
「いや、別に普段からテレパシー使ってる訳じゃないんだよ。クナースが変なこと考えてそうな時は使ってるけど」
「そうだったのか。...では俺の口からスキル名を言おう。俺の新たなるスキルはランダムマジックだ。」
「格好つけて変な当て字すんな。...で、どんな効果なの?」
「効果はランダムに選ばれた魔法がノーコストで発動する、だ」
「それ、知られたらやばいタイプのスキルじゃないの...?」
「あぁ、ここで俺がランダムマジックを発動して広範囲を焼き尽くす魔法とか引いたらこの街が滅ぶわけだしな。」
「もしかしてこれからずっといい加減な魔法って呼ぶつもりなの?」
「だが、死んでも死なない迷宮内ならこれはかなり使える」
「...確かに、自分の実力に合わない階層にもそのスキルなら運が良ければ行けるだろうしね。(無視すんなよ)」
「そうだ。早くこのランダムマジックを使いたいから早速迷宮に行こうぜ」
「うん、正直僕もそのランダムマジックに興味あるしね。行こう」




