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吸血の勇者ユーリル  作者: らんた
第八章 ユーリル、国王になる
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第五話

(今度は負けねえ)


 ユーリルにとってそれはリベンジなのだ。


 二人は翼を出しながら海面を飛んでいく。翼って何て便利なんだろう。そして断崖絶壁の海面にを横目に見る。確かに。ここなら海から上陸できない。しかもところどころ難破船も見える。


 断崖絶壁の海面が終わると樹海が広がる海岸線に出た。妖精族の領域だ。


 ユーリルは海岸に降り立ち妖精の笛を吹いた。例によって森が道を作る。


 そして、再び妖精族に出会った。


 村長に出会い、採血のお願いをする。今回はサンプルということで村長自ら採血者となった。


 そして今度こそ妖魔族の国に行く。国と言ってもラジエル一人が支配する「ぼっち」の国と言うことがもう分かっている。


 「お前、また来たのか」


 (ふふっ。顔を隠して声も変えてもばれるのか。さすがと言ったところ。まあ翼でばれてるんだけどな)


 「お前がラジエルか?」


  面頬から発せられるのは吹雪の声だった。


 「何で俺の名前を知っている。まあいい。今度こそ、死ぬぞ?」


 そう言って超雷呪が自分たちに向かってくる。だがユーリルたちは無傷だ。魔壁呪を発動させていた。


 「残念だな、俺たちは進歩してるんだよ!」


 そう言って何度も剣をラジエルに叩き込む。ラジエルを包み込むバリアにひびが入りそしてラジエルを守るものが何もなくなった。ラジエルはカラが発した業火の炎を食らい、そしてユーリルが一刀両断!なんとラジエルの腕を切断した。


 返す刀で首を刎ねる。断末魔が響き渡る――!


 吸血鬼独特の勝利の雄たけびをユーリルは上げた。


 「ユーリル、やったね!」


 「ああ、リベンジだぜ」


 (この先には一体何があるんだ?)


 「行くぞ!」


 その声にカラは答える。


 行きついた先はちょっとした宮殿だった。


 「これは……」


 それは図書館であった。そして数々の記録。


 そして図書館の二階に謁見室らしきものがある。その向こうには執務室もある。


 ここには獣人族や海魔族を脅迫する指示書などが書かれていた。


 「これが闇に蠢く者の正体」


 思わずユーリルは面頬を取った。


 「この世界のかなりの個人情報が保険を通じて向こうに全部行ったようね」


 カラも面頬を取った。呆れ顔だった。


 「この本、見て。俺たちと同じ言語だ」


 そう、吸血族が人間族出自である証拠。


 「この本をクローフィー城に全部持っていったらおもしれー事になりそうだな」


 「その前にラジエルを弔いましょ。だってその存在が既に魔素汚染の原因物よ」


 「そっか。それもそうか」


 こうして妖精族はもう妖魔族の脅しにおびえることは無くなった。同時に失った国土を妖精族は取り戻したのである。妖精族の村に帰るとユーリルは勇者! 勇者! の声とともに迎え入れられたのであった。

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