第十話
「これって……電波塔の意味って……」
ユーリルは『電波塔』の意味が分かった。
「そうよ。これ転送装置なんだわ」
塔の先端部分はマーズランドに向かっていた。自分たちが住む星そっくりの青の星!
「それどころか。もしや、魔法陣があるのかも。こんな塔ならば魔法も撃てる」
そうだよな、サラ。
「こんな大きな鉄の棒があればね」
カラは古代人の技術に驚くばかり。
「探せ! 魔法陣だ!!」
しかし自分たちは一階から屋上まで来たのではないか? それらしきものなんて無かったじゃないか!
もう一回くまなく探す。だがそういったものはない。
とうとう一階に降りてしまった。
「くそっ!」
思わず蹴ってしまった。
音が響く。
「ねえ、勇者、音が響くって事は……地下に何かあるかも!」
サラ、お前耳がいいな。
「地下? そうか、地下か!」
くまなく探した。
「この壁、なんか変よ」
そう、ここだけくぼんでるのであった。エレベーターの横にあるボタン。
押してみた。
なんと壁が動くではないか!!
「エレベーターのボタンじゃねえのかよ!」
じゃああの人力エレベータ装置って何のために!?
「てっきり管理用のボタンかと思ったわ!」
壁の向こうにはなんと地下へ続く階段だ。しかもここだけ妙に新しい。明らかに後から作られたものだ。そうか、エレベータに偽装するためか。
地下一階に降りて見た。
「これは……」
カラは圧巻だった。
「魔法陣、それもたくさん」
ユーリルはびっくりする。
「カラ様、魔法陣の起動方法しってますか?」
「知るわけな……あっ! 四天王様なら。四天王カーミラ様なら知ってる」
「転移魔法じゃダメなのか?」
ユーリルはまだよく分かって無かった。
「転移魔法じゃ必要な魔力が違うわ、それに転移魔法ってせいぜい二十キロが限界よ!」
へえ? そんな距離なん?
「そっか。じゃあ一旦撤退だな」
しかし突然魔法陣が起動した。なんと現れたのは妖魔!!
「よくもオヤジを殺してくれたな。殺してやる。人形の目を通してお前らの戦いは見ていた。塔の外に来い!! 俺の名はバラキエル!!」
(しまった!! 人形が設置されていたのか! 潰すべきだった!)