第八話
「これが新しい鎧」
この鎧は黒闇色・闇色・闇蒼色と三色用意されていた鎧であった。面頬も鎧と同じ色であった。
「魔族の誇りを示す意味で色を選んだでやんす」
海魔族が答える。
「今度は洗えばOKなんだな。それだけでなく除染活動も進展すると」
「そうでがんす。この辺の領土が増えるでがんす」
「こういうのも作りましたでごんす」
(これは……)
「これは合金です。この鎧よりも強力な剣でやんす」
「ユーリル様、あなたに……」
その剣はずっしり重かった。
「ありがとう。行くぞ。リベンジだ」
ユーリルは黒闇色の鎧と面頬。カラは闇色の鎧と面頬。サラは闇蒼色の鎧と面頬を選び装備した。装備を終えると三人は重い扉を開けた。そして最後の扉も開ける。
「今度は負けねえぞ。相手はまるで海のような色の鎧だった。区別はつくはず」
勝てるのだろうか?
「翼は出せないけどね」
そう、それが最大のハンデだ。
「そうなんだよなあ。翼を出さないと人間時代の力と同じになっちゃうんだよな」
三人は『飛行呪』を唱えて死の大地を駆け抜ける。
「あるよ、大きな反応が。遠い方にあるね」
前回戦った場所だ。
「カラはこんなスピードで俺たちを追ってたのか」
「そうよ。貴方たちを見守るためにね」
(頭が下がるぜ)
「おい、なんだよあれ」
ユーリルはとうとう敵の本拠地に近づいた気がした。
「塔だわ」
カラは少し怯える。
「頂上についてる突起物がマーズランドに向かってる」
サラ、よく見つけたな。
その時突然砂に埋もれてた人形が警告音を発した。
「おいおい、俺たち歓迎されてるぜ」
速度を上げるユーリル。
「あの塔に半吸血族がお出ましするね」
カラ、大丈夫か?
「カラ、一応聞くが今回の半吸血族殺しは同族殺しにはならねえよな」
「大丈夫よ。国家反逆罪に問われてる。生死の区別は問われない形で捕らえる事になってるわ」
「へえ、そいつはいいね」
「サラ、防御に徹してくれ」
「防御力上げる呪文とか大丈夫だよな!」
「大丈夫よ!」
「来たぜ」
その塔はマーズランドへ導くかのようだった。
◇◆◇◆
「オヤジ、お客様だぜ」
水晶玉がついた部屋に警報が鳴り響く。
「あいつらか。じゃあおまえはオフクロを頼むぞ」
「了解」
「オフクロはお前らの妖魔族の血が大好物だから忘れずにな」
「へいへい」