第四話
「なんだこの人形兵たちは……」
ユーリルは驚いた。
「これ、核が埋め込まれています。これは水魔族に使われていたもの」
サラ……ナイスな発見だ。
「まだあったのか」
「それにサラ、初戦なのによくできたな」
(と言っても俺が圧倒したおかげなんだけどな)
「ええ」
「あそこ見て!! 街よ、街!!」
「いよいよか。この大陸の街」
そう、ここはほかの大陸と交流がほとんど見られない。
いったい、ここで何があったのか。
魔素計はどんどんガリガリなっていく。
「とりあえず行ってみるぞ」
「ユーリル……待って!! 何よこれ?」
川だ。この街はあちこちに橋がある。川の跡が多数あったのだ。今や石と砂しかないが。
(この城壁は……)
城壁の中に入った。
人や馬の骨が散らばっている。鎧も着ていた。だが自分たちが着る鎧とは似ても似つかないものだった。
「この剣はユニークだな」
そりがちょっと曲がっていた。剣は元の位置に戻した。
「この形をした場所は聖域なのかな?」
たしかに教会っぽい。
「みろ、この建物。残ってるぞ」
「本当ね」
「今日はここに泊れるな。テントを張ろう」
◆◆◆◆
「僕はヴリトラ村の住民を嬉しそうに吸血した。よくそんな奴と冒険できるよね」
傷つけたくなかった。それと三日月の笑みを彼女に見せたくなかった。あの血に飢えたときの笑みを。
「……」
「違うの」
(?)
「私にとってユーリル様ってあこがれだったの」
「何で?」
「だって同じ元人間だし。それにいろんな魔族を救ってきた勇者様だから」
(救ってきた、ねえ。単に養分を求めただけだが)
「私だってずっと葛藤して来た。人間の血を飲むことに抵抗感もあった。でも自分たちが作ってる医薬品で命が救われてるのなら、血を分けてくれてもいいかなって」
サラは無意識に少しだけ三日月の笑みを見せた。吸血鬼特有の笑み。
「それにヴリトラ村って元々竜族と共存してたし。人間と魔族って共存できるんじゃないのかな。私達、その懸け橋になれるんじゃないかって」
「……」
「本当にありがとう。今まで旅してきてずっと当たり障りのない話しかしてこなかったから」
「ううん、こちらこそ」
「それといくら魔素を防御する装備をしていても微量でも漏れてるかもしれない。もしかしたら俺たち短命になるかもだぞ。生まれて来る子孫にも影響するかもしれないんだぞ。引き返すのなら今のうちだぞ」
「だったら、なおのこと……乗り越えたい」
「本気で言ってるんだな?」
「ええ」
その時突如爆発音が生じた!!
「出てこい、ユーリル!! この街に居ることは分かってる」




