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吸血の勇者ユーリル  作者: らんた
第七章 クレシェンテ大陸
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第三話

 「そんなに気になる?」


 「サーミラ四天王様……」


 「カラよ。もしここでユーリルが命を落としたら貴殿の復讐は果たせなくなる。それでいいのか? しかも付添人のサラは実戦経験が無いんだぞ」


 鍛錬場は、カラの攻撃魔法でボコボコになっていた。


 「行きなさい。実は人形兵が送り込まれるという話を聞いた」


 「人形兵……」


 「獣人族を脅して海岸地区でも核を養殖してたみたいだね。良心の呵責を感じて国王が密かに伝えたよ。それとクレシェンテの中継地点に魔法陣が置かれた。そこに転移してやる」


 「あ、ありがとうございます」


 「ユーリルとサラを頼むよ」


 そして渡されたのは魔素を防御する鎧と面頬。


 全てを装着するとカラは再び暗黒戦士の姿になった。


 「いいかい。守ってあげなよ」


 「それと、これ」


 渡されたのは血液が入ってるボトルだった。それと魔法反応石。ユーリルが居る方角を教えてくれる。ユーリルやサラが魔法を唱えたら、ではあるが。


 「ありがとう……」


 思わず面頬を取って頭を下げた。涙声に近い。


 「ほらこっち来て。そんなんじゃ敵にやられちゃうよ」


 言われてあわてて面頬を付けなおす。


 案内されたのはカラも知らない封印された扉。


 サーミラが呪文を唱えると施錠の音がした。


 そこには魔法陣が描かれていた。


「貴重な材質で作ってるんだ。めったに作れないよ。それに……船じゃ全く追いつけないしね。それと転移魔法唱えられるの、今のところ私ぐらいしか居ない。ささ、魔法陣の中に入って」


 カラが魔法陣の中に入ると高度な呪文が聞こえる。やがてすっと景色が消えた。


 (がんばれよ)


 「ここは……」


 「中継地点だよ。名前はまだないね」


 魔法陣がある部屋を出て出迎えてくれたのはゴーレムだった。


 「あ、その姿見ると外に出るね」


 「ええ……」


 (やっぱりユーリルは凄いわ。いろんな魔族を、そして世界を救ってる)


 砦の城門を出るとなんと浮遊魔法『飛行呪』を唱えてユーリルを追う。


 これなら翼を出さずとも高速移動できる!


 意外にも魔法反応石が反応した。


 (そこにユーリルとサラが居るのね)

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