第三話
「そんなに気になる?」
「サーミラ四天王様……」
「カラよ。もしここでユーリルが命を落としたら貴殿の復讐は果たせなくなる。それでいいのか? しかも付添人のサラは実戦経験が無いんだぞ」
鍛錬場は、カラの攻撃魔法でボコボコになっていた。
「行きなさい。実は人形兵が送り込まれるという話を聞いた」
「人形兵……」
「獣人族を脅して海岸地区でも核を養殖してたみたいだね。良心の呵責を感じて国王が密かに伝えたよ。それとクレシェンテの中継地点に魔法陣が置かれた。そこに転移してやる」
「あ、ありがとうございます」
「ユーリルとサラを頼むよ」
そして渡されたのは魔素を防御する鎧と面頬。
全てを装着するとカラは再び暗黒戦士の姿になった。
「いいかい。守ってあげなよ」
「それと、これ」
渡されたのは血液が入ってるボトルだった。それと魔法反応石。ユーリルが居る方角を教えてくれる。ユーリルやサラが魔法を唱えたら、ではあるが。
「ありがとう……」
思わず面頬を取って頭を下げた。涙声に近い。
「ほらこっち来て。そんなんじゃ敵にやられちゃうよ」
言われてあわてて面頬を付けなおす。
案内されたのはカラも知らない封印された扉。
サーミラが呪文を唱えると施錠の音がした。
そこには魔法陣が描かれていた。
「貴重な材質で作ってるんだ。めったに作れないよ。それに……船じゃ全く追いつけないしね。それと転移魔法唱えられるの、今のところ私ぐらいしか居ない。ささ、魔法陣の中に入って」
カラが魔法陣の中に入ると高度な呪文が聞こえる。やがてすっと景色が消えた。
(がんばれよ)
「ここは……」
「中継地点だよ。名前はまだないね」
魔法陣がある部屋を出て出迎えてくれたのはゴーレムだった。
「あ、その姿見ると外に出るね」
「ええ……」
(やっぱりユーリルは凄いわ。いろんな魔族を、そして世界を救ってる)
砦の城門を出るとなんと浮遊魔法『飛行呪』を唱えてユーリルを追う。
これなら翼を出さずとも高速移動できる!
意外にも魔法反応石が反応した。
(そこにユーリルとサラが居るのね)




