第二話
<魔族の故郷 マーズランド>
人間が火星と呼ぶこの星……かつて魔族は召喚魔法によって強制的にマザーランドに……つまり地球に呼び出され人間に虐げられてきた。その隷属の状態を打破したのが先代の大魔王ザルボスである。
しかしあまりの急進的な政治が反発を呼び革命が起きそして大魔王ザルボスは最終魔法を唱えてこの星を住めない状況にしたのであった。妖魔族出自の大魔王は力の暴走にとって命を落とした。
他の魔族は隷属された場、マザーランドに逃れそこで人類の土地を侵略したのである。
しかし、他の魔族は忘れていた。
マーズランドにはクリーンエリアがあることを。
つまり、その地には人間牧場機能が生き残っていたのである。
そこにトゥーラは居た。
人間界に居たホームレスなどをさらって睡眠薬を投与。そして魔法陣で共に移転して妖魔族の種を仕込むのである。相手は昏睡状態。
表向きは女性養護施設と言ってるが内実は人間牧場である。
生まれてくる子は高確率で妖魔族。
今日も悦楽に浸り、仕事を終えて居城に帰る。
そう、ここはトゥーラの居城もあるのだ。
(ばかなオヤジとオフクロだ。人間なんてしょせん道具)
息子がこのような非道な事をすることに両親は反対したのだ。
そして予定通り親はサマエルに消された。今まで守ってやって来たのにと。
そして俺はこの居城をもらった。
出産のときはさすがに母体は保護するが。妖魔族の手術の手によって、な。
人間と妖魔族が交われば四分一の確率で妖魔族が誕生する。残りの四分三の確率で生まれて来る人は……生れたての絶望してる声を聴きながら首に牙を立て血を飲むのが最高にうまい。
血を抜いた後に妖魔族に肉を献上する。人間の肉は終末魔法を唱えるための悲願の源になるのだ。
育児は人形兵が行う。海魔族が育てた核に埋め込むと短期間ながら動かせるのだ。そいつらが育児を行う。今や海魔族も敵になってしまった。核の確保はどうしようっかっと。ユーリルのせいだ。
ユーリルか。元人間のくせに生意気だ。
殺してやる。
なぜかトゥーラは震えが止まらなくなった。
そういえばあいつ俺たちが滅ぼした大陸に居るんだよな。
そう思って王城にある天宮室に入った。そこで魔導望遠鏡をのぞく。
そこに、仇敵の姿が……いた!
「ちょっくら人形であいさつしてやるか。人形遊びか。おもしれーじゃねえか」
闇の渦が突然生じるとそこに居たのはトゥーラの子であるバラキエルであった。
そう、バラキエルは妖魔族として生まれた。
「留守にするんだろ」
「もちろんだ」
トゥーラは高度な反魔素防御鎧を着て面頬を付ける。一見するとユーリルたちとそっくりだ。
もっとも鎧の色は青色なので一発で分かるが。
「留守は頼んだ」