第十話
翌日、二人は図書館に向かった。王城の中にあった。
白骨化した死体、爆発で破壊された跡ばかりの街であった。
ここは、王都であることが分かった。
それどころかここは元々緑が豊かな大地と言うことも。
そして王の私室には妖魔族を使って隣国、それと他の魔族を攻めようとした密書まで見つかった。
半吸血族を使って吸血鬼を増やすということまで行っている。
王の私室から地下に行くと手術室が、あった。
「何よこれ……」
「そういうことだよ。おそらくは吸血族の技術を使って手術したんだろう。輸血もな」
(ということは利用するだけして後から交渉に失敗した?)
妖魔族の山の反対側のふもとに、国があったのだ。
「ねえ、君はこんな国があった事知ってる?」
「知らないわ。というかここって何ていう国なの?」
「エルグだ。エルグ国」
「知らない」
「日付は二八年前で止まってる」
「『銀狼の月』ってことは冬だ」
自分が生まれる前に国があったのだ。
「ここを拠点にすると言ったが出来るのか?」
「さあ……。分からないわ」
二人は確固たる証拠をもってここを立ち去ることとした。
銀狼の月=11月
雪が降り始めるがここ砂漠の国エルグ国では雪とは無関係である。