第八話
<その頃、クローフィ城では……>
「カラ、聞いたわ。勇者の監視役から外れたって?」
歌姫のミラだった。
「それでいいの?」
「ええ」
――敵だもん
「だって、私の……敵だもん」
拳を握り締める。
「すべてが終わったら敵討ちをしてよいと」
「本当にそれが、本意?」
「そうよ……」
「じゃあ、なんで教会に着て毎日祈りを捧げてるの?」
「それは……」
「共に冒険していくうちに恋が芽生えた、なんて事は無いよね?」
「違います!」
「……いいわ」
「ともに祈りましょう。ともに歌いましょう。そして貴方との鍛錬付き合ってあげる」
「ありがとう……」
二人は聖歌を捧げた。
「魔族との戦いが終わったら平和になる。その時勇者はお払い箱よ。いいや、吸血族にとっても新たな脅威よ。その脅威を、倒す」
カラの顔つきは悲壮感が満載だった。
「本当にその道でいいのね、カラちゃん」
「分からないわ!!」
泣いていた。
「自分の親を殺した救国の英雄なんてどうしたらいいか、私わからないわ! ユーリルが寝てる時、どれだけ首を絞めて殺そうかと思ったか。でも彼が吸血族の英雄なのよ」
「じゃあ心の鍛錬も含めて修行しなきゃね。聖歌だけじゃなくて宗教も覚えて来ましょう。神父様にちゃんと教えてもらいましょう。それでも決意が変わらないというのであれば、私、協力するわ」
――勇者を……殺すわ。貴方のために
小声で言った。
「ありがとう」