第三話
王城に帰って海魔族の王が変死したことをユーリルは伝えた。
きっと背後に別の勢力が居るって事も。するとゼーマ王は……。
「勇者よ、妖精族の村に行ってほしい。そこで吸血族の亜種も聞けることだろう」
「どういうことですか!」
「吸血せずに……人間と恋仲に落ちたものが居る。当然、吸血族からも人間界からも追放だ。そういった種族、半吸血族がいる。竜族や獣人族ではありえないことだ。半妖は正式な魔族として認められる。もっとも親は処罰されるが。そして妖精族の上位種族である妖魔族」
ゼーマ王はいったん時間を置いてから言った。
「彼らが先代の《《大魔王》》となった種族だ。ただし……《《前の世界》》でな」
(前の世界!?)
「王……妖精族、妖魔族、半吸血族にどんな関係が?」
「行けば分かる」
「おそらく考えられるのはもうこの種族しかいない。ユーリルよ、今回は人間時代に行った村に今度は吸血族として行ってほしい」
「はっ」
謁見室を後にするとユーリルは嫌な予感に襲われた。
今度の戦いはもしや只者ではないのかも。
その日の夜、夜遅くにカラがひそかに呼ばれた。
「無いと思うが万が一勇者が妖魔側に落ちないように監視してほしい。彼は大魔王になれる素質がある。彼が大魔王になったら魔族の大半は……滅ぶ」
「はい」
「監視と援助、たのむぞ」
「仰せのままに」