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~序~
「お許しください!!」
闇に蠢くものが懇願する
「どうかお許しを!!」
闇に蠢くものが悲痛な声を上げる。
「スレジア五世よ。我は海魔族を見損なった」
「どうかお許しを東の御方」
「もし、ここで我の名前を真名で言ったらお前らの種族ごと殲滅する」
ふっと悲痛な声が止まった。
「お前らはこの世界になんで来たと思ってるのだ?」
「もちろん飢える種族を救うため」
だった、はずだ。
「そして東の御方をもとに戻すため」
そんな理想、とっくに諦めている。
「それが分かってない魔族ばかりだがな」
見抜かれていた。
「まあ、せいぜいがんばれ……我々はお前を見捨てる」
「そんな!」
「せいぜい吸血族の支配下に置かれることだな」
闇から気配が消えた。
「終わりだ……」
闇に蠢くものは崩れ落ちる。
「俺は終わってしまう!!」