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吸血の勇者ユーリル  作者: らんた
第五章 水魔族・氷魔族との戦い
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第四話

 炎魔族の使者らは満身創痍であった。傷だらけであった。

 死霊族と違い核で動くものの地の精霊や炎の精霊を宿して動く種族のため『死魔消滅』は効かない。替わりに普通の魔法で殺せる種族である。ゆえに核の周りを岩で守っている。回復も炎の精霊を入れて回復する。ゆえに岩がくっつく。このように回復も簡単だが氷漬けにされられたら終わりなのだ。

 ガム、ギム、グム、ゲムの四人は必死に国書を守りながら山を下った。


 かつての死霊族の地にたどり着くと吸血族が占領していた。事の大事に気が付いた将軍は急いてゼーマ国王の下に四人を連れて入城したのである。


 炎魔族は珍しいのか入城していくと好奇の目で見られたり、恐怖の対象となって家の扉と窓を閉めるものが多かった。四人はその姿を見て悲しくなった。


 謁見室にガム、ギム、グム、ゲムの4人は集まり国王を待つ。ゼーマ国王が謁見室に入って来た。


 「ほお、電気とな」


 「そうです。各友好国に電気を送ります。我が国は地熱で発電しておりますが余剰分が発生しております。そこで電気を輸出したいと考えております。それには絶縁体となるゴムが必要です。その代わり貴国らの医療物質を買います。そして氷魔族・水魔族への進撃に協力してほしいのです。悪い話ではないかと」


 ガムが提案する。


 「しかし、スライムを侮っていた。我が国は相当痛い目にあっている」


 「それに関しては策があります。業火の術で焼き尽くしてしまえばいいのです。分裂体ごと焼き尽くします。ただの炎魔法ではございません。噴火時の火山並みの炎です」


 ギムはさらっと怖い事を言う。そう、ゴーレムが出す炎は火山並みの強烈なものだ。だから人間の時にゴーレム系の魔物に出会ったら相当戦いに苦労したものだった。炎魔族とはめったに出会うことはないが一度だけなぜか戦ったことがある。もしかしたらこういった使者や商人だったのかもしれない。吸血鬼となった今となってはなんか申しわけない。


 「いいだろう。勇者とカラよ、同行してくれないか」


 「はい」


 ユーリルは即答だ。


 「仰せのままに」


 カラは今回うやうやしく拝命した。

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