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吸血の勇者ユーリル  作者: らんた
第五章 水魔族・氷魔族との戦い
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第一話

 秋は何も動きが無かった。数か月とはいえ平和をユーリルは感受していた。もう残りの魔族は海魔族を除き小部族だから大国となった吸血族に手だし出来ないのだろう。それでもユーリルは鍛錬を怠らなかった。秋は収穫祭の季節だ。文字通り命を刈り取る季節でもある。畜産物の命も刈り取る時期なのだ。血ごと。人間の村々に睡眠魔法をかけ血液をこっそり頂く強化期間でもある。樹木は紅葉が彩り散っていく。やがてテラスに雪がちらつく。珍しい。この地はめったに雪が降らない。手前の山脈が雪をブロックしてるからだ。そっか、もう季節は冬か。


 そしてユーリルの誕生日がやってきた。ユーリルという名の意味は冬至祭りの「ユール」が何度でもやってきますように、古代の太陽神であるミスラ神が復活する願いを込めた冬至祭りと同じ日にユーリルは生まれたのだ。ユーリルはカラやミラとささやかなお祝いを行った。さらに数日が過ぎた。まもなく新年となる。


 「冬ねー」


 カラが言う。樹木の紅葉は既に散っていた。


 「あれからもうすぐ一年になるんだね~」


 そうか、俺が吸血鬼になってまもなく一年になるのか。この一年でいかに己の生活が激変したか。


 今、こうして何気なく「人間風」の姿を取っているとはいえ。


 「ここって雪は降るの?」


 「うーん、ここはめったに降らないかな~。降るときはもう交通がマヒしちゃうね」


 へえ。


「ねえ、でももっと大きな雪雲みたいなのが来てるよ」


ユーリルの指先から見えるのは漆黒の雲だ。


「あら本当。珍しいわね」


その雪雲はどんどん大きくなっていった。


そして……。


氷の刃が文字通り降って来たのだ!!


「なんだこれは!?」


城内に避難する二人。


「やばい! これってもしかして? でもそんな!?」


そして水道の水を飲んだものが倒れる。


「これって『毒』じゃない!?」


それは一瞬の出来事だった。カラは必死に手当てする。


「氷魔族と水魔族しか考えられないわ! 急いで謁見室に行きましょう」


 カラとユーリルは急いで謁見室に向かった。


 ゼーマ王の命令で井戸水、つまり地下水に切り替えた。しかし圧倒的に水が足りない!!


 氷の刃で死んだ吸血族は幸いにも一人だけだったが瀕死の患者が病院にあふれた。


 物見の窓から王は言う。


「スライムと氷魔族が王城の周りを囲んでる」


「信じられないわ!」


 四天王の一人サーミラが戸惑う。


「スライムってこんなに多かったっけ?」


 四天王の一人ザーグも戸惑う。


「我々四天王は王をお守りせねばならぬ」


シドンは覚悟を見せた。


「籠城戦になるぞ」


「四天王の一人シドン、王をお守りします」


「四天王の一人アーク、ご提案があります」


「申してみよ」


「花火を打って隣国に知らしめるべきです」


「それはいい。早く実行してくれ」


王城から赤の花火が打ちあがる。それは「襲撃」の合図であった。

【四天王一覧】

サーミラ→女の四天王。ユーリルに竜の血を飲めと指示した人物。

シドン→竜族の顧問にして四天王。財務が得意。

ザーグ→元は生き残った兵士。人間時代のユーリルによって瀕死の重傷を負った経験がある。そのせいでいまでもユーリルに恐怖を感じている。一般兵から一気に四天王へ昇格したので必死に将校に関する勉強を叩き込んでいる。

アーク→獣族との折衝を行っている四天王。

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