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吸血の勇者ユーリル  作者: らんた
第四章 死霊族との戦い
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第三話

「そんな……」


聖属性魔法演習室にいるのはユーリルも知っている有名人であった。


「びっくりしたかな? 歌姫のミラさんだ。卒業生だ。君のために私が呼んだ」


「よろしく」


「君は、有名な歌姫」


「そう。歌姫として人間を偵察してたわ。夜はこっそりと血をいただきながら」


教会に居て時々歌ってた人物であった。衝撃だった。


「聖職者の血ってけっこう……うまいのよ」


嗤いながら蝙蝠の翼を出し牙をはやすミラ。


そして聖歌を歌った。それが、本性……。ユーリルにとって何かが崩れる音がした。


「吸血族って元人間が多いのよ。人間が知ってる魔法を知ってて当然でしょ?」


もう人間界は既に吸血鬼に占領されてるのでは?


「その前にお茶会をしない?」


「何で?」


「ハーブティーって聖属性魔法を増幅させる効果があるの」


「へえ」


「じゃあ、さっそく始めようか」


「まさか魔法を鍛える前にお茶会?」


「いけないかね?」


 教授が釘を刺す。


「勇者、魔法と言っても聖属性魔法はただ鍛えるだけじゃダメなの」


「魔導書ならここにある。でも鍛えればいいってもんじゃない。呪文を覚えるだけでもだめだ」


(それは俺が一番苦手とするタイプの修練では?)


◆◆◆◆


 テーブルにはお菓子がたくさんある。そして高級そうな陶器。空を見るとそして緑色のお茶だ。なんか夕方雨降りそうな雲が沸いてるなあ。テラスでお茶だなんで人間時代以来の行為だ。


「どうぞ」


教授が勧める。


「それじゃ」


「ダメよ、勇者。それでも貴族?」


「え?」


「お茶会ってのはマナーがあって……」


 こうして勇者はお茶会のマナーを身に付けることとなった。まあ、貴族出身なのにマナーを身に着けていない俺が恥ずかしいんだけどね。でも男爵の爵位なんて「ほぼ平民」って意味の爵位だしなあ。


「ところで勇者、死霊族の核を壊すのだが……魔力は大した魔力を使わない」


「へ?」


「この世に未練を残した部分を消去するんじゃ。それが『死魔消滅』の呪文。だから魔力じゃないんだよ。『心』なんだ。呪文はこのように簡単じゃ。読むだけなら。発動できるかどうかは別だ。カラにも聞いてみるがよい。なぜ『死魔消滅』を使えるのかと」


「お茶会に必要なのは人の痛みを知る事。そのためには人の話を聞かないとね」


(そんな……歌姫、そりゃないよ)


 「それとこの術の習得には死者を弔う気持ちも大切だ。さっそく君の仲間の墓に行こうか」


 三人はマクドネル、ガレス、モルドレッドの墓に行き、そして祈りを捧げた。


 「死者を救う気持ちが分かったかね?」


 「ええ、少しは」


 「彼らの死を無駄にしないようにしてほしい」


 (分からない……死者を弔う気持ちなんて誰もが持ってるもんでは?)

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